日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボンボア」の意味・わかりやすい解説
ボンボア
ぼんぼあ
Camille Bombois
(1883―1970)
フランスの画家。ブルゴーニュのベナリー・レ・ロームに生まれる。父親が河船の船頭であったため、幼年時代を水上生活で送る。1907年パリに出て、地下鉄の工事人夫、ついで印刷工となり、仕事のかたわら制作に励む。第一次世界大戦に従軍後、22年モンマルトルの舗道に作品を並べたところ、運よく詩人のノエル・ビュローの目にとまり、続いて批評家ウィルヘルム・ウーデに認められ、彼の助力で制作に専念できるようになった。静謐(せいひつ)な風景、サーカスの情景など自己の追憶を生気ある色彩と細密描写によって表現、その画面からは健康的な官能性が発散されている。素朴派画家の一人。パリに没。
[徳江庸行]