改訂新版 世界大百科事典 「ポティエ」の意味・わかりやすい解説
ポティエ
Robert-Joseph Pothier
生没年:1699-1772
フランスの法律家。オルレアンで生まれ,同地の上座裁判所présidialの評定官の職を父から相続(1720)したのち,同地で死去するまでその職にあり,またこの間(1750-72)オルレアン大学の教授をも務めた。ローマ法,教会法とともに慣習法の研究にも従事し,各種慣習法の中の共通要素を明らかにし,そこにフランス固有の一般法を認識してフランス法を統一しようとした〈慣習法学派〉の一人として活躍した。学風は,同時代のドイツなどの自然法学派の影響や彼独自の哲学といったものはなく,現実主義・実用主義的傾向が強かった。数多くの概説書を書いて私法に関する広範囲の諸問題に総合的・体系的に検討を加え,のちの民法典(ナポレオン法典)の編纂にドマと並んで大きな影響を与えた。とくに民法典のうちの債務法の諸条項は彼の著作を基礎としているといわれている。
執筆者:高橋 清徳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報