日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポンキエッリ」の意味・わかりやすい解説
ポンキエッリ
ぽんきえっり
Amilcare Ponchielli
(1834―1886)
イタリアの作曲家。クレモナ近郊のバデルノ・ファゾラーロ生まれ。早くから才能を認められ、9歳でミラノ音楽院に入学。卒業後北イタリア各地の教会、軍楽隊などで働きつつオペラ作曲を試みた。1872年ミラノで『婚約者』(1856年作曲の改訂版)が成功、オペラ作曲家としての地位を築く。翌73年にはスカラ座の委嘱でバレエ『双生児(ふたご)の姉妹』を発表。76年にスカラ座でオペラ『ジョコンダ』を初演、彼のオペラのなかで最大の成功作になる。のちにベルディの台本作者として活躍するボイートがユゴーの戯曲をもとに書いた台本によるこのオペラは、第三幕のバレエ音楽「時の踊り」がとくに有名だが、ベネチアを舞台に歌姫ジョコンダの恋を劇的に描き、多くの名アリアを含んでいる。83年にミラノ音楽院教授に就任、教え子にプッチーニ、マスカーニらがいる。ミラノに没。
ポンキエッリは、ベルディと同じ時代を生き、ベルディが国民的英雄とみなされたときに、彼に次ぐ名声を獲得した。しかし、彼の成功は1870年代に集中しており、これはベルディが新作を発表しなかった時期にあたっている。彼の作品は、今日ではまれに『ジョコンダ』が上演される程度である。
[美山良夫]