クレモナ(読み)くれもな(英語表記)Cremona

翻訳|Cremona

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレモナ」の意味・わかりやすい解説

クレモナ(イタリア)
くれもな
Cremona

イタリア北西部、ロンバルディア州クレモナ県の県都。人口6万9444(2001国勢調査速報値)。ポー川左岸のロンバルディア平原に位置し、河川・陸上交通の要地である。農業およびそれと関連のある食品(塩漬け肉、パスタ、チーズ、からしなど)や農業機械などの生産が主要な経済活動である。ミラノとポー川を結ぶ運河開通によって、市の将来の発展が大いに期待されている。弦楽器の製作では世界的に有名である。

[堺 憲一]

歴史

紀元前218年、北イタリアのポー川北岸にラテン植民市として建設された。ハンニバルがイタリアに侵入したときローマ側にたって激しく抗戦し多大の損傷を受けたので、前190年、追加の植民が行われ、前90年自治都市となった。紀元後69年の内乱のおり、クレモナはウィテリウス軍の中心都市であったため破壊されたが、ウェスパシアヌスはこれを再建、ポー川航行とポストゥミア道の要地として繁栄した。ローマの正規な都市計画とモザイクの床が現在も残っている。古代末期の民族大移動時代にゴート人やフン人の略奪を受けたが、11世紀以来ロンバルディア地方の都市国家として復興し、テラコッタ彫刻と、とくにバイオリン製作で知られるようになった。

秀村欣二


クレモナ(Antonio Luigi Gaudezio Giuseppe Cremona)
くれもな
Antonio Luigi Gaudezio Giuseppe Cremona
(1830―1903)

イタリアの数学者。パビーア生まれ。ボローニャ(1860~1867)、ミラノ(1867~1873)、ローマの工業学校(1873~1877)教授を経て、1877年ローマ大学教授。のちに文部大臣も務めた。彼の数学上の業績としては、射影平面からそれ自身への、いわゆる双有理変換発見があり、これは「クレモナ変換」とよばれている。

[矢野健太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレモナ」の意味・わかりやすい解説

クレモナ
Cremona

イタリア北部,ロンバルディア州クレモナ県の県都。ポー川中流の北岸にのぞみ,ミラノの南東約 75kmに位置する。前 219年頃ローマ人により,ケルト人の村跡に建設された。民族大移動の時代には,ゴート人やフン人の略奪をしばしば受け,中世以降もその帰属は転々とした。肥沃な平原に位置し,周辺の農牧業地域を後背地として商工業が発達。農畜産物の集荷市場,食品加工,農業機械,繊維,煉瓦,ピアノなどの製造工場が立地。ヌガー (菓子) が長年の特産品。クレモナ派の名工 (N.アマーティ,A.グァルネリ,A.ストラディバリなど) により 16~18世紀にかけて製造されたバイオリンは,クレモナの名を世界的にした。中世以来の古い建築物が多く,13世紀末の高い鐘楼 (112m) ,大聖堂 (1332) ,ゴシック様式の市庁舎,八角形の洗礼堂などがある。人口7万 3404 (1991推計) 。

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