マカリオス3世(その他表記)Makārios Ⅲ

改訂新版 世界大百科事典 「マカリオス3世」の意味・わかりやすい解説

マカリオス[3世]
Makārios Ⅲ
生没年:1913-77

キプロス大主教,初代大統領(在任1959-77)。本名ムースコスMichael Mouskos。アテネ大学で神学・法律学を,ボストン大学で神学を学ぶ。第2次大戦後のキプロスのエノシス(ギリシア本国との合体)運動指導者。1950年3月キプロス大主教。55年イギリスによってセーシェル諸島に追放されたが,翌年釈放。59年キプロスの独立を認めるチューリヒロンドン協定調印し,選挙で大統領に当選した。74年7月のクーデタで一時イギリスに逃れるが,同年末大統領に復帰し,死去するまで大統領を務めた。しかし,63年のギリシア・トルコ両系の分裂後は,実質的にはギリシア系のみの代表であった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マカリオス3世」の意味・わかりやすい解説

マカリオス3世
マカリオスさんせい
Makarios III

[生]1913.8.13. パナイヤ
[没]1977.8.3. ニコシア
キプロスのギリシア正教の大主教,政治家。アテネ大学神学部を卒業後,アメリカのボストン大学に留学。 1948年キプロスに帰り,48年主教,50年大主教となった。エノシス (ギリシアとの統合) 運動の非暴力闘争を指導,このため 56年イギリス政府によってインド洋のセーシェル島に追放されたが,57年釈放されギリシアに帰った。 59年ロンドンで,イギリス,トルコ,ギリシア,キプロス島の各代表による会談でキプロス独立協定に調印,60年独立とともに初代大統領に選出された。 68年再選,73年3選されたが外交ではアメリカ,ソ連両大国の圧力を巧みにかわして非同盟主義をとった。しかし国内ではギリシア系住民とトルコ系住民の対立にはさまれて苦慮した。 74年7月軍のクーデターとその直後のトルコ軍の進攻 (キプロス紛争) の際,一時イギリスに亡命,12月に帰国して大統領の地位に復帰したが,最後まで内外の問題に苦しめられた。

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20世紀西洋人名事典 「マカリオス3世」の解説

マカリオス3世
Makarios Ⅲ


1913.8.13 - 1977.8.3
キプロスの聖職者,政治家。
元・イギリス領キプロス島大主教。
パフォス出身。
アテネ大学(神学)卒,アメリカ・ボストン大学(神学)卒。
本名ムースコス。
1948年キティオンのギリシア正教主教。’50年キプロス大主教。キプロスのギリシア帰属闘争を組織し、イギリス当局に逮捕。セイシェル島に流刑。アメリカの仲介で、その要求をキプロス独立に変更し、’60年8月キプロスは独立、大統領。しかし、ギリシア帰属を要求するギリシア系右派島民とトルコ系島民との内戦が発生し、ギリシア軍事政権もマカリオス敵意を抱く。’74年のクーデターでイギリスに逃れるが、同年末大統領に復帰し、島の分裂状態克服に尽力した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報

367日誕生日大事典 「マカリオス3世」の解説

マカリオス3世

生年月日:1913年8月13日
キプロスの初代大統領,ギリシア正教の大主教
1977年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のマカリオス3世の言及

【キプロス問題】より

…これに対して55年にイギリスが,スエズの軍事基地をこの地に移すと,ギリシア系住民によるエノシス(ギリシア本土への併合)を要求する反英闘争とトルコ系少数民に対するテロルとが激化した。これに対してギリシアとトルコがただちに双方の住民を支持して介入したため,59年にイギリスはギリシアとトルコを〈東地中海域の防衛とキプロス問題〉会議に招集し,その結果,60年にイギリス連邦内の共和国としてキプロスの独立を承認し,ギリシア正教独立支派の大主教マカリオス3世が初代大統領に選出された。 60年に採択された憲法ではトルコ系副大統領に国防と外交に関する拒否権を認めるなど両民族の融和措置が講ぜられたが,ギリシア系住民は重要な政治的地位を独占し,商業・経済分野において優位を確保した。…

※「マカリオス3世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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