マカリオス(読み)まかりおす(その他表記)Makarios Ⅲ

デジタル大辞泉 「マカリオス」の意味・読み・例文・類語

マカリオス(Makarios)

(3世)[1913~1977]キプロス宗教家政治家。第二次大戦後キプロスの民族独立運動指導、1960年独立とともに初代大統領就任

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マカリオス」の意味・わかりやすい解説

マカリオス
まかりおす
Makarios Ⅲ
(1913―1977)

キプロスの政治家。本名ミハイル・クリストドゥロス・ムスコス。キプロス島のパフォス出身。アテネ大学とアメリカ・ボストン大学神学部を卒業、1948年にキティオンのギリシア正教主教となり、1950年にキプロス大主教に就任した。キプロスのギリシア帰属闘争を組織してイギリス当局に逮捕され、セイシェル島に流された(1956年3月~1957年3月)。アメリカが仲介にたち、マカリオスもその要求をキプロス独立に変更したため、トルコ系島民も納得し、1959年のチューリヒ協定およびロンドン条約により、1960年8月にキプロスは独立、マカリオスは大統領に就任した。しかしグリバスらのギリシア系右派島民はあくまでギリシア帰属を要求、テロ行動を展開し、トルコ系島民との内戦が発生した。他方、1967年に権力を握ったギリシア軍事政権もマカリオスに強い敵意を抱いたが、1974年に内外での孤立状態を打開するためキプロス派遣ギリシア将校団にクーデターを起こさせ、マカリオスを追放した。トルコがキプロスに進攻し北部を占領クーデター政権とギリシア軍事政権の双方が崩壊した。マカリオスは帰国して大統領に復帰、島の分裂状態克服のため努力したが、1977年8月3日に病死した。

木戸 蓊]

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百科事典マイペディア 「マカリオス」の意味・わかりやすい解説

マカリオス[3世]【マカリオス】

キプロスのギリシア正教会の大主教,初代大統領。本名ミハイル・ムースコス。キプロスの西端パフォス近郊のアノ・パンキュイア生れ。アテネ大学で神学と法律学を,ボストン大学で神学を学んだ。1946年聖職につき,1948年キティオンの主教に,1950年大主教に就任。キプロスには18世紀後半からトルコ系住民を排しギリシア系住民によるギリシアとの合体を求めるエノシス運動があったが,1925年から英国の直轄植民地になると,エノシス運動を中核とする反英民族主義運動となった。マカリオスはこの指導者として活躍,1955年英国によりセーシェル諸島に追放され,翌年釈放。1959年キプロスの独立が認められると熱烈な歓迎の中を帰国。ギリシア・トルコ暫定政権下でギリシア・キプロス第1首相となり,同年大統領に選ばれた。1974年クーデタで一時政権の座を追われるが,同年末には大統領に復帰,死去するまでその職にあった。その死後,大主教と国家元首の地位は分離された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「マカリオス」の解説

マカリオス(3世)(マカリオス(さんせい))
Archibishop Makarios Ⅲ

1913~77

キプロスの初代大統領(在任1960~77)。アテネ大学で神学,法律学を,ボストン大学で神学を学ぶ。第二次世界大戦後のギリシアとの連合を唱えるキプロスの民族独立運動(エノシス運動)の指導者。1950年キプロス大司教。56年イギリスによってインド洋セーシェル群島に追放されるが,翌年釈放。59年キプロス独立を認めるロンドン協定に調印し,選挙で大統領に当選。

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旺文社世界史事典 三訂版 「マカリオス」の解説

マカリオス
Makarios

1913〜77
キプロスの聖職者,キプロス共和国の初代大統領(在任1960〜77)
農民の出身で,1950年キプロス大主教となった。イギリスの支配に抗してキプロスのギリシア復帰運動を指導し,一時島外に追放されたのち,1960年独立とともに初代大統領に選ばれた。1974年ギリシア合併派のクーデタでイギリスに亡命したが,まもなく復帰。ギリシアとトルコに分断された国内の融和につとめたが果たせず,病死。

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世界大百科事典(旧版)内のマカリオスの言及

【修道院】より


[修道院の起源]
 アントニウスはmonkの原義どおり〈ひとり住む者〉(隠修士)として荒野で長い苦行の生活を続けたが,その禁欲ぶりはアレクサンドリアの主教アタナシオスの筆になる《聖アントニウス伝》(356)によって西方のガリアの奥深くまで伝えられた。彼の弟子ヒラリオンHilarion(291ころ‐371)はそれをパレスティナに,別の弟子マカリオスMakarios(300ころ‐390ころ)はナイル川のデルタ地帯に拡大した。東方教会にいまも根強い隠修士的傾向はこのときに始まる。…

※「マカリオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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