ましじ(読み)マシジ

大辞林 第三版の解説

ましじ

( 助動 ) ( ○ ・ ○ ・ましじ ・ましじき ・ ○ ・ ○ )
〔上代の打ち消し推量の助動詞。「まじ」の古形〕
動詞または動詞型活用の助動詞の終止形に接続する。強い打ち消しの推量・意志を表したり不可能であることなどを表したりする。 「堀江越え遠き里まで送り来る君が心は忘らゆましじ/万葉集 4482」 「ま鉋かな持ち弓削ゆげの川原の埋れ木の顕はるましじきことにあらなくに/万葉集 1385」 〔 (1) 活用は形容詞型。ただし、終止形・連体形の例のみ。 (2) 接尾語「み」の接続した「ましじみ」の形がある。「み」は形容詞活用の語幹(シク活用では終止形)に付いて連用修飾語をつくるもの。原因・理由を表す。…ないから。「朕は汝の志をば暫くの間も忘れ得ましじみなも/続紀 天応一宣命」〕

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精選版 日本国語大辞典の解説

ましじ

〘助動〙 (活用は「〇・〇・ましじ・ましじき・〇・〇」。上代の打消推量の助動詞。「まじ」の古形) 動詞または動詞型の助動詞の終止形を受けて、強い打消の推量・意志、不可能であることの判断、禁止などの意を表わす。
※書紀(720)仁徳三〇年一一月・歌謡「磐之媛(いはのひめ)が おほろかに 聞こさぬ 末桑(うらぐは)の木 寄る麻志士枳(マシジキ) 川の隈々(くまぐま)
※続本紀‐天応元年(781)二月一七日・宣命「朕は汝の志をば暫くの間も忘れ得末之自(マシジ)みなも」
[語誌](1)活用は形容詞型と見られるが、終止形、連体形の例のみである。挙例「続日本紀‐宣命」の「ましじみ」は、形容詞語幹に付く接尾語「み」の付いたもの。
(2)語源は明らかでない。「じ」は打消推量の助動詞「じ」に関係があると考えられるが、「まし」を推量の助動詞「まし」と関連づけることは、接続、意味の上から困難である。また、形容詞「うまし」からできたとする説(「うまし」+「じ」)もあるが、不明。
(3)「万葉集」に一二例認められるが、そのうち八例が「かつましじ」という形であり、上接語が限定されている。
(4)上代の「ましじ」から中古の「まじ」への変化は、「ましじ」が助動詞としては語形が長いうえに類音が連続していることによると見られる。

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