ましじ(読み)マシジ

デジタル大辞泉 「ましじ」の意味・読み・例文・類語

ましじ[助動]

[助動][○|○|ましじ|ましじき|○|○]「まじ」に同じ。活用語終止形に付く。
「堀江越え遠き里まで送りる君が心は忘らゆましじ」〈・四四八二〉
[補説]「ましじ」は上代語で、推量助動詞「まし」に打消し推量の助動詞「じ」の付いたものという。

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精選版 日本国語大辞典 「ましじ」の意味・読み・例文・類語

ましじ

  1. 〘 助動詞 〙 ( 活用は「〇・〇・ましじ・ましじき・〇・〇」。上代の打消推量の助動詞。「まじ」の古形 ) 動詞または動詞型の助動詞の終止形を受けて、強い打消の推量・意志、不可能であることの判断、禁止などの意を表わす。
    1. [初出の実例]「磐之媛(いはのひめ)が おほろかに 聞こさぬ 末桑(うらぐは)の木 寄る麻志士枳(マシジキ) 川の隈々(くまぐま)」(出典:日本書紀(720)仁徳三〇年一一月・歌謡)
    2. 「朕は汝の志をば暫くの間も忘れ得末之自(マシジ)みなも」(出典:続日本紀‐天応元年(781)二月一七日・宣命)

ましじの語誌

( 1 )活用は形容詞型と見られるが、終止形、連体形の例のみである。挙例「続日本紀‐宣命」の「ましじみ」は、形容詞語幹に付く接尾語「み」の付いたもの。
( 2 )語源は明らかでない。「じ」は打消推量の助動詞「じ」に関係があると考えられるが、「まし」を推量の助動詞「まし」と関連づけることは、接続、意味の上から困難である。また、形容詞「うまし」からできたとする説(「うまし」+「じ」)もあるが、不明。
( 3 )万葉集」に一二例認められるが、そのうち八例が「かつましじ」という形であり、上接語が限定されている。
( 4 )上代の「ましじ」から中古の「まじ」への変化は、「ましじ」が助動詞としては語形が長いうえに類音が連続していることによると見られる。

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