日本大百科全書(ニッポニカ) 「マシニッサ」の意味・わかりやすい解説
マシニッサ
ましにっさ
Massinissa
(前240ころ―前149)
ヌミディア王(在位前202~前148)。第二次ポエニ戦争(前218~前201)期に、北アフリカ先住民ベルベル系諸王権の一つ、マッシュリー王国の王子であった彼は、カルタゴ軍に加わって従軍したイベリア戦線でローマの敵将スキピオ・アフリカヌス(スキピオ(大))と接触、協力を誓った。父王の死後、カルタゴの意を迎えて侵入した隣国マサエシュリー国王シュファックスを相手に苦戦したが、おりしもアフリカ上陸を果たしたスキピオ(大)指揮下のローマ軍の助力で、シュファックス・カルタゴ連合軍を打倒して即位。旧マサエシュリー領をも併合して、東はシドラ湾岸から西はマウレタニア(現モロッコ付近)国境に達する大王国を形成するに至った。第二次ポエニ戦争終結後は、ローマの黙認の下で敗者カルタゴの穀倉地帯を蚕食、この地の農業経営を基礎としてヘレニズム諸国とも交流し、古代ベルベル王権の最盛期を現出。しかし、その露骨な侵略政策はついにカルタゴの武力反撃を招き、これを口実としたローマの対カルタゴ宣戦布告により、第三次ポエニ戦争(前149~前146)となる。
[栗田伸子]