導火線(読み)ドウカセン(その他表記)safety fuse

翻訳|safety fuse

デジタル大辞泉 「導火線」の意味・読み・例文・類語

どうか‐せん〔ダウクワ‐〕【導火線】

雷管とともに用いる、火薬を爆発させるための火縄黒色火薬を紙・糸で巻いてひも状にしたもの。
事件を引き起こすきっかけ。「大戦勃発導火線となった事件」
[類語]引き金起因誘因動機モチーフ呼び水誘い水

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精選版 日本国語大辞典 「導火線」の意味・読み・例文・類語

どうか‐せんダウクヮ‥【導火線】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 黒色火薬を心薬とし糸や紙で被覆したひも状の線。雷管や爆薬に装着し、ある時間または距離をおいてこれらを爆発させるのに用いる。〔五国対照兵語字書(1881)〕
  3. 事件をひき起こすきっかけとなるもの。ある事柄の起こる原因。いとぐち。動機。
    1. [初出の実例]「条約改正問題は、端なく藩閥政府攻撃の導火線となって」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「導火線」の意味・わかりやすい解説

導火線
どうかせん
safety fuse

黒色火薬を心薬(導火線または導爆線の中央に配置され、燃焼または爆轟(ばくごう)を伝播(でんぱ)する物質)として、麻糸、綿糸、紙テープなどにより被覆した紐(ひも)状の火工品で、端から点火すると一定の速さで燃焼が伝わる。工業雷管の点火や花火の点火などに用いられる。現在用いられている導火線は、イギリスの発明家ビックフォードWilliam Bickford(1774―1834)の名にちなんでビックフォード導火線(1831年に発明)、またはその性能から安全導火線ともよばれる。

 導火線はスウェーデンノーベルの発明したダイナマイトと工業雷管とが併用されて発破(はっぱ)の重要な付属品として使われてきた。日本では、1965年(昭和40)に耐静電気雷管の市販が開始されて以来、工業雷管があまり使われなくなり、電気雷管に移行したので、発破では導火線はあまり使われなくなってきたものの、打上げ花火では現在も使用されている。

 発破用導火線には炭鉱用の第1種、一般鉱工業用の第2種、および土木その他の露天用の第3種導火線の3種があるが、現在使われているのは第2種導火線のみである。

 導火線の性能としては正確な燃焼秒時と立ち消えのないことが重視される。速く燃えると点火してから爆発がおこるまでに逃げ遅れるおそれがあり、立ち消えがおこると装填(そうてん)爆薬の部分的な不発残留がおこり事故のもととなるからである。現在の導火線の燃焼秒時は、1箱からとった五つの試料について1メートル当り100~140秒の範囲内にすべて入り、しかもばらつきはその平均値のプラスマイナス7%以内に入るように規定されている。

吉田忠雄・伊達新吾]

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改訂新版 世界大百科事典 「導火線」の意味・わかりやすい解説

導火線 (どうかせん)
safety fuse

黒色粉火薬を心薬として,麻糸,綿紙,紙テープなどで被覆した紐状の火工品。点火すると一定の燃焼速度で燃焼する。工業雷管の点火や花火の点火などに用いられる。現在の導火線はイギリスの発明者ビックフォードWilliam Bickford(1794-1834)の名にちなんでビックフォード導火線と呼ばれ,またその性能から安全導火線とも呼ばれる。ダイナマイト,工業雷管と併用されて発破の重要な付属品として使われてきたが,近年先進国では工業雷管から電気雷管へ移行したのであまり使われなくなってきた。

 発破用導火線には炭鉱用の第1種,一般鉱工業用の第2種および土木その他の露天用の第3種導火線の3種があるが,現在使われているのは大部分が第2種導火線である。導火線の性能としては正確な燃焼秒時と立消えのないことが重視される。速く燃えると点火してから爆発が起こる間に逃げ遅れてしまうことがあり,立消えが起こると装てん(塡)爆薬の部分的な不発残留が起こり,事故の原因となるからである。現在の導火線の燃焼秒時は,一箱から取った五つの試料すべてが100~140s/mの範囲内に入り,しかも,ばらつきはその平均値の±7%以内に入るように規定されている。
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化学辞典 第2版 「導火線」の解説

導火線
ドウカセン
safety fuse

みちび,安全導火線ともいう.火工品の一種で,工業雷管を点爆させるために用いられる.その構造は中央に黒色火薬を心薬とし,その周囲を麻糸または紙糸で被覆し,これをアスファルト類で防水被覆し,外部を綿糸などで被覆し,外部にさらにタルクまたはビニル樹脂を塗布する.JISでは第一種(炭鉱用),第二種(一般鉱工業用),第三種(土木その他露天用)に区別しているが,現在市場にあるものは,ほとんど第二種である.線径は4.6 mm 以上,燃焼速度は1 m について,100~140 s の間に入る.水深1 m の水中に置いた状態で1 h 以上放置しても燃焼性がかわらないこととなっている.以前は,爆薬類を爆ごうさせるための手段としてもっとも重要なものであったが,電気雷管の登場により,しだいに使用量が減少してきている.

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百科事典マイペディア 「導火線」の意味・わかりやすい解説

導火線【どうかせん】

工業雷管の点火に用いられる火工品。粉状黒色火薬を心薬とし,糸や紙で被覆してひも状につくる。雷管に固定し,一端に火をつけると一定速度(平均毎秒100〜140m)で燃焼し,その長さに応じた一定時間後に他端から火を吹き雷管を爆発させる。心薬にペントリット等の鋭敏な爆薬を用いたものは導爆線という。現在では電気雷管がこれにとってかわりつつある。
→関連項目火工品

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「導火線」の意味・わかりやすい解説

導火線
どうかせん
safety fuse; fuse

雷管に点火するための火工品。黒色粉火薬を糸,紙で幾重にも巻き,防水塗料を塗った紐状のもの。ある時間またはある距離をおいて,火薬類を作動させるために使用される。導火線に雷管をつけ,これを爆薬に装着し,爆破個所に装填する。導火線の一端に着火すると,心薬の黒色火薬が燃え,その長さに応じた一定時間後に他端から火を吹き,雷管を爆発させて爆薬が爆発する。通常の導火線は 1mにつき 100~140秒の燃焼秒時である。炭鉱,鉱山,土木などの作業に使われる。

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