日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツノザイセンチュウ」の意味・わかりやすい解説
マツノザイセンチュウ
まつのざいせんちゅう / 松材線虫
pine wood nematode
[学] Bursaphelenchus xylophilus
袋形(たいけい)動物門線虫綱チレンクス目Tylenchidaに属する植物寄生線虫。体長約1ミリメートル。各地にみられるマツ類枯損の原因のほとんどは本種とマツノマダラカミキリ(マダラヒゲナガカミキリともいう)の相利共生の結果である。線虫は1匹のカミキリ成虫の気管内に何万と侵入し、カミキリがマツの枝をかじると、その傷跡から線虫が樹体内に侵入繁殖し、木全体に広がる。このためマツは萎凋(いちょう)(しおれ)をおこし、松脂(まつやに)の滲出(しんしゅつ)が止まり数週間で枯死する。カミキリはこのような木の幹に産卵する。翌春マツの材中でカミキリが蛹(さなぎ)から羽化すると、線虫はカミキリの気門から気管内に侵入する。
[野淵 輝]