マツノマダラカミキリ(読み)まつのまだらかみきり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツノマダラカミキリ」の意味・わかりやすい解説

マツノマダラカミキリ
まつのまだらかみきり / 松斑天牛
[学] Monochamus alternatus

昆虫綱甲虫目カミキリムシ科に属する昆虫。マツ類の害虫で、本州から琉球(りゅうきゅう)諸島まで産し、朝鮮半島、台湾、中国にも分布する。体長18~30ミリ、体は暗褐色ないし黒褐色であるが、黄褐または赤銹(あかさび)色の毛に覆われ、前胸背部に赤銹色の縦条が一対あり、上ばねは各三条の同色の縦条があって、その間室は白と黒の毛斑(もうはん)を交互にもつ。触角は赤褐色で雄では体長の2倍以上、雌でも1倍半近くある。成虫は5~9月に現れ、夜間活動してマツの若い枝を噛(か)み、枯れた枝に産卵する。この昆虫は体内にマツノザイセンチュウを保有しており、噛食(ごうじき)の際にマツに侵入するので松枯れの原因となるため、防除が問題になっている。そのためスミチオンの空中散布が以前から行われているが、効果は薄く、ほかの小動物に影響が大きいことが知られており、餌木(えぼく)を置いて誘引し、捕獲するほうがはるかに効果的であるとの報告がある。

[中根猛彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マツノマダラカミキリ」の意味・わかりやすい解説

マツノマダラカミキリ
Monochamus alternatus

鞘翅目カミキリムシ科。別名マツノトビイロカミキリ,マダラヒゲナガカミキリともいう。体長 18~27mm。体は黒ないし赤褐色で,頭部と前胸背は黄褐色の微毛を密生し,斑紋をなす。前胸両側に棘突起がある。上翅には黒,白,褐色の斑紋がある。触角は非常に長く,雄では体長の2倍以上。マツの大害虫で,幼虫はおもに衰弱木の樹皮下を食害し,成虫は松枯れの原因の一つとなるマツノザイセンチュウを媒介する。本州,四国,九州,南西諸島,台湾,朝鮮,中国に分布する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報