マツノマダラカミキリ(その他表記)Monochamus alternatus

改訂新版 世界大百科事典 「マツノマダラカミキリ」の意味・わかりやすい解説

マツノマダラカミキリ
Monochamus alternatus

甲虫目カミキリムシ科の昆虫。別名マツノトビイロカミキリ,マダラヒゲナガカミキリ。マツを枯らすマツノザイセンチュウを運ぶことで注目されている。成虫は5~6月ころから出現,マツの若い枝を食するが,センチュウは食痕から木の中へ侵入する。カミキリは樹脂の流出の止まった異常木に産卵。このころ,木の中のセンチュウは爆発的に増える。幼虫は樹皮下から材の中へ食べ進み,4~5齢で越冬翌年の5月ころから蛹化(ようか)する。木の中のセンチュウはさなぎにとりつき始め,羽化直後でもっとも多くなる。センチュウは気門から気管へ侵入する。1匹の成虫は平均約1万5000匹のセンチュウを保持する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツノマダラカミキリ」の意味・わかりやすい解説

マツノマダラカミキリ
まつのまだらかみきり / 松斑天牛
[学] Monochamus alternatus

昆虫綱甲虫目カミキリムシ科に属する昆虫。マツ類の害虫で、本州から琉球(りゅうきゅう)諸島まで産し、朝鮮半島、台湾、中国にも分布する。体長18~30ミリ、体は暗褐色ないし黒褐色であるが、黄褐または赤銹(あかさび)色の毛に覆われ、前胸背部に赤銹色の縦条が一対あり、上ばねは各三条の同色の縦条があって、その間室は白と黒の毛斑(もうはん)を交互にもつ。触角は赤褐色で雄では体長の2倍以上、雌でも1倍半近くある。成虫は5~9月に現れ、夜間活動してマツの若い枝を噛(か)み、枯れた枝に産卵する。この昆虫は体内にマツノザイセンチュウを保有しており、噛食(ごうじき)の際にマツに侵入するので松枯れの原因となるため、防除が問題になっている。そのためスミチオンの空中散布が以前から行われているが、効果は薄く、ほかの小動物に影響が大きいことが知られており、餌木(えぼく)を置いて誘引し、捕獲するほうがはるかに効果的であるとの報告がある。

[中根猛彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マツノマダラカミキリ」の意味・わかりやすい解説

マツノマダラカミキリ
Monochamus alternatus

鞘翅目カミキリムシ科。別名マツノトビイロカミキリ,マダラヒゲナガカミキリともいう。体長 18~27mm。体は黒ないし赤褐色で,頭部と前胸背は黄褐色の微毛を密生し,斑紋をなす。前胸両側に棘突起がある。上翅には黒,白,褐色の斑紋がある。触角は非常に長く,雄では体長の2倍以上。マツの大害虫で,幼虫はおもに衰弱木の樹皮下を食害し,成虫は松枯れの原因の一つとなるマツノザイセンチュウを媒介する。本州,四国,九州,南西諸島,台湾,朝鮮,中国に分布する。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「マツノマダラカミキリ」の解説

マツノマダラカミキリ
学名:Monochamus alternatus

種名 / マツノマダラカミキリ
目名科名 / コウチュウ目|カミキリムシ科
解説 / 夜行性で、切りたおされたマツ類に集まります。
体の大きさ / 18~27mm
分布 / 本州~南西諸島
成虫出現期 / 5~9月
幼虫の食べ物 / アカマツ、クロマツなど

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世界大百科事典(旧版)内のマツノマダラカミキリの言及

【マツノザイセンチュウ(松材線虫)】より

…マツクイムシの被害といわれるマツの枯損はこれによって起こる。5~7月ころ,耐久型幼虫がマツノマダラカミキリによって運ばれ,その食害傷からマツの若枝に侵入し,樹脂道内に定着する。その作用でマツが発病したあとセンチュウは旺盛に増殖し,樹体内いっぱいに広がる。…

※「マツノマダラカミキリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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