改訂新版 世界大百科事典 「マツノマダラカミキリ」の意味・わかりやすい解説
マツノマダラカミキリ
Monochamus alternatus
甲虫目カミキリムシ科の昆虫。別名マツノトビイロカミキリ,マダラヒゲナガカミキリ。マツを枯らすマツノザイセンチュウを運ぶことで注目されている。成虫は5~6月ころから出現,マツの若い枝を食するが,センチュウは食痕から木の中へ侵入する。カミキリは樹脂の流出の止まった異常木に産卵。このころ,木の中のセンチュウは爆発的に増える。幼虫は樹皮下から材の中へ食べ進み,4~5齢で越冬,翌年の5月ころから蛹化(ようか)する。木の中のセンチュウはさなぎにとりつき始め,羽化直後でもっとも多くなる。センチュウは気門から気管へ侵入する。1匹の成虫は平均約1万5000匹のセンチュウを保持する。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報