翻訳|matryoshka
ロシアの代表的な民芸品として知られる木製の人形。セルギエフ・ポサード(旧ザゴルスク),ビャトカ(旧キーロフ),トベーリ(旧カリーニン),ニジニ・ノブゴロド(旧ゴーリキー)など木工品で有名な地で作られるものが名高い。その名が女性の名前マトリョーナMatryonaの愛称形であることが示すとおり,ロシア庶民の娘をかたどっていて,頭にはプラトークと呼ばれるネッカチーフを,身体にはサラファンと前掛けを着け,手には穀物の束,鎌,鶏などを持つ姿が極彩色であざやかに描かれるのが一般的である。胴の部分で上下に二分され,中から同形の小さなものが順にいくつも出てくる(〈入れ子式〉)のが特徴である。全体のなめらかな曲線,顔の表情などの点で日本のこけしとの類似点が多い。ロシアで作られるようになったのは1890年代半ばで,画家S.V.マリューチンとザゴルスクのろくろ師V.ズビョズドチキンによってモスクワの工房〈子どもの教育〉で製作されたのが最初である。その際に日本のこけしのデザインや,だるまの入れ子のアイデアがとり入れられたと考えられている。
執筆者:坂内 徳明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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