マラパルテ(その他表記)Curzio Malaparte

改訂新版 世界大百科事典 「マラパルテ」の意味・わかりやすい解説

マラパルテ
Curzio Malaparte
生没年:1898-1957

イタリアの作家。父はドイツ人で,本名はKurt Erich Suckert。早熟な政治少年で,18歳のとき義勇兵として第1次大戦に参加した。1922年,ファシストローマ進軍に参加し,24年にファシスト左派の立場から《国家の征服》誌を創刊。彼の《野蛮なイタリア》(1925)を出版したP.ゴベッティによって〈ファシズム側の最も手ごわいペン〉と評される。以後,《ノベチェント》誌の創刊(1926),《フィエーラ・レッテラーリア》誌および《スタンパ》紙の編集長など両大戦間の文学界,ジャーナリズムに重きをなしたが,33年,ヒトラー攻撃の書として物議を醸した《クーデタ技術》(1931)ほかの筆禍によって逮捕,流刑された。以後,第2次大戦中,ドイツ軍に従いヨーロッパ辺境の前線を巡り歩いた体験をつづった《カプート》(1944),さらに米英軍進駐下のナポリ生態を描いた《皮》(1949)が大成功を収め,この二つの小説がつねに時代の現実に取り組んだ作家マラパルテの代表作と目されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マラパルテ」の意味・わかりやすい解説

マラパルテ
まらぱるて
Curzio Malaparte
(1898―1957)

イタリアの小説家、批評家。本名はKurt Erich Suckert。早熟な政治少年で、若くして第一次世界大戦に志願。1922年、ファシストのローマ進軍に参加、以後、ファシズム左派の立場を代表する知識人の一人として、『ノベチェント』誌の創刊(1926)、『フィエーラ・レッテラーリア』誌および『スタンパ』紙の編集長など、両大戦間の文学界、ジャーナリズム界に重きをなした。しかし、ヒトラー攻撃の書として物議を醸した『クーデターの技術』(フランス語版1931)ほかの筆禍によって逮捕、流刑された。第二次大戦中、ヨーロッパ各地の前線を巡り歩いて得た見聞を酷薄な筆致で綴(つづ)ったルポルタージュ小説『カプート(破滅)』(邦訳『壊れたヨーロッパ』)(1944)と連合国軍支配下のナポリを生々しく描いた『皮』(1949)の二作が、多作で知られるマラパルテの代表作と目されている。

古賀弘人]

『海原峻・真崎隆治訳『クーデターの技術』(1972・東邦出版社)』『古賀弘人訳『壊れたヨーロッパ』(1990・晶文社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マラパルテ」の意味・わかりやすい解説

マラパルテ
Malaparte, Curzio

[生]1898.6.9. プラト
[没]1957.7.19. ローマ
イタリアの小説家,ジャーナリスト。本名 Kurt Suckert。 1918年から政治活動を始め,ファシズムに近づき,多彩なジャーナリストとして世界的に知られた。 24年雑誌『国家の征服』 La conquista dello stato,26年『ノベチェント』,37年『展望』 Prospettiveを創刊。 28~31年には『スタンパ』誌の編集長をつとめた。しかしファシズム政府から次第にうとんじられ,追放,流刑のはてに,連合軍側に立って解放戦線に参加した。戦争小説『崩壊』 Kaputt (1944) ,超現実的な『皮』 La pelle (49) のほか,フランス語によるエッセー『クーデターの技術』 Technique du coup d'état (31) がある。

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