日本大百科全書(ニッポニカ) 「マラパルテ」の意味・わかりやすい解説
マラパルテ
まらぱるて
Curzio Malaparte
(1898―1957)
イタリアの小説家、批評家。本名はKurt Erich Suckert。早熟な政治少年で、若くして第一次世界大戦に志願。1922年、ファシストのローマ進軍に参加、以後、ファシズム左派の立場を代表する知識人の一人として、『ノベチェント』誌の創刊(1926)、『フィエーラ・レッテラーリア』誌および『スタンパ』紙の編集長など、両大戦間の文学界、ジャーナリズム界に重きをなした。しかし、ヒトラー攻撃の書として物議を醸した『クーデターの技術』(フランス語版1931)ほかの筆禍によって逮捕、流刑された。第二次大戦中、ヨーロッパ各地の前線を巡り歩いて得た見聞を酷薄な筆致で綴(つづ)ったルポルタージュ小説『カプート(破滅)』(邦訳『壊れたヨーロッパ』)(1944)と連合国軍支配下のナポリを生々しく描いた『皮』(1949)の二作が、多作で知られるマラパルテの代表作と目されている。
[古賀弘人]
『海原峻・真崎隆治訳『クーデターの技術』(1972・東邦出版社)』▽『古賀弘人訳『壊れたヨーロッパ』(1990・晶文社)』