日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルコフニコフ則」の意味・わかりやすい解説 マルコフニコフ則まるこふにこふそくMarkovnikov's rule ロシアの化学者マルコフニコフが1868年に提唱した法則。炭素間の二重結合にハロゲン化水素HXが付加するとき、その水素原子は、二重結合を構成する二つの炭素原子のうち、より多くの水素原子の結合している炭素に付加することを示す。たとえば、塩化水素がプロペン(プロピレン)に付加するときは、2-クロロプロパンを生じ、その異性体の1-クロロプロパンを生じない。 しかし、この法則は、微量でも酸素すなわち空気の存在するもとでの臭化水素の付加には適用できず、空気下では、臭化水素はこの法則とは逆の向きに付加する。[徳丸克己] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例