マンション大規模修繕工事に関する実態調査(読み)まんしょんだいきぼしゅうぜんこうじにかんするじったいちょうさ

知恵蔵 の解説

マンション大規模修繕工事に関する実態調査

マンションの大規模修繕工事を巡り、管理組合が割高な工事契約を結ばされるケースが発生していることを受けて、適切な工事発注の参考となるよう国土交通省が実施した工事事例の実態調査。2017年に初めて調査を実施し、18年5月に結果を公表した。
分譲マンションでは12年程度の周期で大規模な修繕工事を行うのが一般的で、工事を発注する管理組合は、診断・設計・工事監理を担う設計コンサルタントに技術資料を作成してもらい、その情報を基に施工業者を選定することが多い。この場合、設計コンサルタントは施工業者の選定が公正に行われるよう中立的な立場に立つことが求められるが、バックマージンをもらって特定の施工業者が受注できるよう工作し、工事費を不当につり上げたり過剰な工事項目の発注を誘導したりするなどして、管理組合に損失が及ぶ事態が起きている。
調査は、直近3年間に受注したマンションの大規模修繕工事に関する設計コンサルタント業務について行い、134社から944サンプルを得た。結果は、マンション規模(戸数床面積)、何回目の大規模修繕工事か、工事の金額、対象範囲や、設計コンサルタントの業務の内訳や業務量などの観点から集計されている。大規模修繕工事の内訳は、外壁(塗装タイル)が工事金額の24.0%、防水(屋根・床)が同22.0%などとなっていた。工事金額については、戸数や床面積当たりの金額や工事回数との関係なども示されている。設計コンサルタント業務の内訳は、工事監理が業務量の40.3%と最も多く、次いで設計31.8%、調査・診断15.2%だった。

(原田英美 ライター/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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