日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリニョリ」の意味・わかりやすい解説
マリニョリ
まりにょり
Giovanni de Marignolli
(1290以前―1357以後)
イタリア、フィレンツェの名門マリニョリ家出身のフランチェスコ会修道士。1338年、ローマ教皇の使節として元朝に派遣された。陸路により中央アジアのアルマリクを経由し、1342年に元朝の首都大都(北京(ペキン))に到着し、元朝最後の皇帝順帝トゴンテムルに謁して、名馬を献じた。しばらく大都に滞在したのち、1345年末、海路により帰途につき、1354年にアビニョンに帰着した。のち、神聖ローマ皇帝カール4世より『ボヘミア年代記』の新たな編集を依嘱され、プラハでその仕事に従事した。マリニョリはその書中に、東方旅行で自らの見聞した中国やインドのことなどを織り込んだのである。
[海老澤哲雄 2018年2月16日]
『オドリコ著、家入敏光訳『東洋旅行記』(1979・桃源社/改訂新版・1990・光風社出版)』