マーケティング・マイオピア(その他表記)marketing myopia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

マーケティング・マイオピア
marketing myopia

自身の事業をどのように定義するかによって,その企業あるいは事業の成功や永続性が違ってくることを強調した考え方。 T.レビットは,事業をその製品自体あるいはモノ自体で定義することはまさにマイオピア (近視眼) であって,避けるべきであることを説いた。そうではなく,その製品が果たす機能ないしは,顧客がその製品に期待する意味・目的によって事業を定義すべきだという。4分の1インチ・ドリルの製造メーカーは,自身の事業を4分の1インチ・ドリル事業と定義するよりも,「4分の1の穴」事業と定義すべきだというわけである。顧客が必要でかつ期待しているのは4分の1インチのドリルではなく,4分の1インチの「穴」だからである。このように顧客がその製品に対して何を期待しているのかを事業のベースにおくことが真の顧客志向であり,そのような志向によって技術代替の大きい波に耐える対応力を持つことができる。鉄道に対する輸送,映画に対する娯楽提供,石油に対するエネルギーフィルムやカメラに対する映像の記録という事業定義転換は,分かりやすい例である。 1960年の同名論文で発表された考え方であるが,今なお実業界に強い影響力を持っており,また戦略市場計画や事業定義の理論先駆となるものである。

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ブランド用語集 の解説

マーケティング・マイオピア

マーケティング・マイオピア(近視眼)とは企業が自社ブランドの可能性を狭く解釈することによって市場機会を逃すことをいう。

出典 (株)トライベック・ブランド戦略研究所ブランド用語集について 情報

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