ソ連のミコヤン・グレビッチ設計局(通称ミグ設計局)がつくった航空機につけられた制式記号。この設計局は航空技師アルチョム・I・ミコヤン(1905―1970)とミハイル・I・グレビッチ(1892―1976)をリーダーとして1939年に設立され、一貫して戦闘機の開発にあたってきたため、ミグはソ連戦闘機の代名詞のようになっている。ソ連邦崩壊後は何度か機構や名称の変遷をへて、現在は「ロシア航空機社MiG」となっている。なお、ミコヤンは一時期ソ連の副首相を務めたアナスタス・ミコヤンの実弟。
この設計局の第一作は高速を追求したミグ1戦闘機で、第二次世界大戦中にはその改良型であるミグ3を約3300機生産しただけであったが、戦後いち早く開発したジェット戦闘機ミグ9でいちおうの成功を収め、それに続くミグ15によって不動の地位を獲得した。ミグ15は朝鮮戦争に参加してアメリカ戦闘機と空戦を展開、その高性能が西側に大きなショックを与えたことで有名。生産数は約1万7000機にも達し、社会主義国の標準戦闘機となった。その発達型であるミグ17、ソ連最初の超音速戦闘機ミグ19に続いて、1956年に完成したマッハ2級のミグ21は、やはり大量生産が行われて多くの国で使われ、ベトナム戦争や中東戦争にも参加した。その後、可変翼をもつミグ23、最大速度マッハ2.8という世界最速の実用戦闘機ミグ25、ミグ23をもとにした攻撃機ミグ27、空戦性能の優れたミグ29、ミグ25の発達型であるミグ31を送り出した。1991年にソ連が崩壊してロシア連邦共和国が成立した後、次世代戦闘機として開発した1.44は試作機だけにとどめられたが、ミグ29の発達型ミグ35などを送り出している。
[藤田勝啓]
『ビル・スウィートマン著、浜田一穂訳『ミグ戦闘機――ソ連戦闘機の最新テクノロジー』(1988・原書房)』▽『野原茂著『図解世界の軍用機史 1945~91(ジェット機編)』(1991・グリーンアロー出版社)』▽『Bill Gunston, Yefim GordonMiG aircraft since 1937(1998, Naval Institute Press, Annapolis)』▽『Yefim Gordon, Keith Dexter, Dmitriy KomissarovMikoyan Mig-21(2008, Specialty PR Pub & Wholesalers)』
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