大量生産(読み)たいりょうせいさん(英語表記)mass production

翻訳|mass production

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大量生産
たいりょうせいさん
mass production

限られた品種の製品を大量に生産する生産組織形態。大量生産方式は,オートメーションを中心とする高度の生産設備のもとで,生産工程を単純化,合理化することによって,コストの引下げ,生産物の質の改善など,生産性向上に大きく寄与する。大量生産方式が発展したのは,大衆の所得水準の向上に伴う大量消費によって,注文生産的市場から市場生産的市場へと,市場構造が変化したことによる。経済の発展段階が生産財中心の時代には,プラント設備,重電機,造船など注文生産的市場の比重が高かったが,大量消費時代の到来とともに,消費財を中心に大量生産方式が発達した。 1910年代のアメリカでフォード・モーター社が行なったT型フォードの大量生産,第2次世界大戦後の日本で始った家庭電気製品,自動車などの大量生産は,その例である。また消費財面での大量生産方式の確立は,その生産設備のもととなる鉄鋼,機械などの生産財,資本財部門での大量生産を誘発した。大量生産方式は見込生産であるため,生産過剰に陥る危険性があり,市場動向調査に基づく計画的な生産管理が,近年では一般に行われている。

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大辞林 第三版の解説

たいりょうせいさん【大量生産】

同質同形の製品を同時に大量につくりだすこと。量産。マス-プロダクション。

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精選版 日本国語大辞典の解説

たいりょう‐せいさん タイリャウ‥【大量生産】

〘名〙 機械力を導入したり、組織的、計画的な生産様式によったりして一種類の生産物を大量に生産すること。生産工程の分化や労働者の作業を単純化する。これによって、コストの低減、生産性の向上が期待できる。マスプロダクション。マスプロ。
※女工哀史(1925)〈細井和喜蔵〉八「食物、食器等の不潔は程度を過ぎた大量生産によるものであって」

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世界大百科事典内の大量生産の言及

【アメリカ合衆国】より

…かくて工業の発達は,それ以後20世紀にかけて製鉄業のみでなく石油,機械,化学,電力にまで及び,南北戦争後30年を経た94年には,その工業生産額が一躍,イギリス,ドイツ,フランスの生産額合計を上回る世界最大の工業国となり,さらに20年後には世界における工業生産能力の約3分の1を占めるまでになった。この間,西ヨーロッパ諸国の工業もかなり急速に発展したが,アメリカの発展速度がそれを上回ったのは,ほかでもなく大量生産方法にもとづく生産性の向上と,人口の急増による国内市場の劇的な拡大によるものである。
[変容する産業構造と経済体制]
 アメリカ的生産技術の特徴は,大量生産方法に不可欠な生産過程の機械化に求められる。…

【技術革新】より

…日本語として定着した技術革新は,そうした社会的過程の全体をさすことばになっている。 たとえば20世紀前半のアメリカをみてみると,広大な国土という条件にあわせて,乗用車の普及と自動車産業の興隆があり,そのなかから安価な車を大量生産する生産技術の革新として,流れ作業を軸とするフォード・システムが成立した。同様な大量生産方式の進展は平行して電機産業でもおこり,機械が大衆消費財となるという状況が経済のなかにはじめてつくりだされた。…

【コンベヤシステム】より

…コンベヤの流れに沿い製品の加工手順に従って多くの作業工程を配列し,加工対象をコンベヤを用いて移動させながら加工を進めていく生産方式,とくにコンベヤを用いて全工程を同期化して大量生産を達成しようとする生産方式をコンベヤシステムという。一般に特定の品種を連続的に繰り返し生産する大量生産においては,加工手順に従って配列された工程系列,すなわち生産フローラインを設置する。…

【資本主義】より

… 資本主義経済の成立と発展にとって機械技術の発明は大きな意義をもつ。機械は大量生産を可能にし,それによって生産コストを引き下げ,廉価な商品を供給することによって市場を拡大し,伝統的な生産方法を駆逐するとともに新しい生活様式をもたらした。また,機械はそれまでの熟練労働を解体し,労働を単純化させ,労働力の調達を容易にするとともに,工場での効率的な分業体系の形成を可能にした。…

※「大量生産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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