ミツアリ(読み)みつあり(その他表記)honey ant

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミツアリ」の意味・わかりやすい解説

ミツアリ
みつあり / 蜜蟻
honey ant

昆虫綱膜翅(まくし)目アリ科の昆虫のうち、体内に蜜(みつ)を貯蔵する習性をもつミツアリ属Myrmeocystesの昆虫。北アメリカの乾燥地域に分布する。甘露一定の働きアリや兵アリ嗉嚢(そのう)に蓄え、活動できない冬を主とした季節の食料とする。嗉嚢は伸縮性に富み、腹部がほぼ球形をなすほどに多量の蜜を貯蔵できる。このような個体は歩行することができず、巣室の天井に脚(あし)のつめでぶら下がっている。

[山内克典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミツアリ」の意味・わかりやすい解説

ミツアリ
Myrmecocystus mexicanus

膜翅目アリ科。働きアリが腹部に蜜をためていることで有名なアリ。体長 9mm。食物に乏しい砂漠にすむため,ある種のコバチのつくる虫こぶにできる蜜を集め,体の軟らかい若い働きアリに食べさせ,腹部に蜜を貯蔵させる。このため働きアリは腹部がぱんぱんにふくれて球状になる。北アメリカのコロラド付近からメキシコまでに分布する。この地方インディアンやメキシコ人の間では,甘味料として売買される。

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