日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミヌール」の意味・わかりやすい解説
ミヌール
みぬーる
Henri Mineur
(1899―1954)
フランスの天文学者、数学者。リールに生まれる。のち、パリに移り、エコール・ノルマル・シュペリュール(高等師範学校)で学んだが、第一次世界大戦で兵役に赴き、大戦後の1921年に卒業した。1924年、関数方程式の解についての研究で数学の博士号を取得。天文を研究するため1925年パリ天文台に入所、1936年パリに天体物理研究所を設立して所長に就任した。第二次世界大戦時はレジスタンスに加わりナチスドイツと闘った。大戦後、天文物理学会の理事を務めた。
彼の功績は恒星天文学の分野において顕著で、銀河面からの距離に応じて太陽系近傍の恒星の固有運動の速度が変化することを明らかにしたことと、銀河系内の球状星団の運動方向が恒星と逆であることを発見したことが特筆される。またセファイド型変光星の変光周期と絶対等級の関係の誤りをみつけ、それまで考えられていた宇宙での距離測定の見積りが小さかったことを示した。
[編集部 2023年5月18日]