日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミミズバイ」の意味・わかりやすい解説
ミミズバイ
みみずばい / 蚯蚓灰
[学] Symplocos glauca (Thunb.) Koidz.
ハイノキ科(APG分類:ハイノキ科)の常緑小高木。トクラベともいう。葉は互生し、狭長楕円(だえん)形で長さ8~15センチメートル、両端はとがり、革質で厚く、毛はない。7~8月、葉腋(ようえき)に短い総状花序をつくり、径6~7ミリメートルの白色花を密生する。花冠は深く5裂し、雄しべは花冠より長く、5群に分かれて多数ある。果実は卵状長楕円形で長さ1.2~1.5センチメートル、先がすこしくびれ、翌年の8月、紫黒色に熟す。名は、果実をミミズの頭に見立て、ハイノキ類であることによる。暖地に生え、静岡県以西の本州から四国、九州、沖縄、および中国、インドシナに分布する。伊勢(いせ)神宮では、葉を供進(ぐしん)物の下敷きにする。近縁のヒロハノミミズバイはオニクロキともいわれ、11~12月に開花し、果実は長さ2~2.5センチメートル。四国、九州の太平洋側の常緑樹林内に生える。
[小林義雄 2021年4月16日]