日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミヤマビャクシン」の意味・わかりやすい解説
ミヤマビャクシン
みやまびゃくしん / 深山柏槙
sargent juniper
[学] Juniperus chinensis L. var. sargentii Henry
ヒノキ科(分子系統に基づく分類:ヒノキ科)の常緑低木。イブキ(伊吹)の1変種で、高さ40~50センチメートル。幹は地に伏して屈曲し、斜上して多くの枝を分かつ。樹皮は赤褐色または灰褐色で、老木になると、ばらばらになってはげ落ちる。葉は針状葉と鱗片葉(りんぺんよう)の2形があり、青緑色を帯びて、2本の白色の気孔線がある。鱗片葉は十字対生し、茎につく。雌雄異株または同株。4~6月、小形の花を開く。雄花は楕円(だえん)形で枝先につき、黄色の花粉を出す。雌花は紫緑色、有柄で厚い鱗片がある。球果は球形で液果状となり、径6~8ミリメートル。初めは緑色であるが、翌年の9月ころ成熟して碧黒(へきこく)色となり、すこし白粉をかぶる。高山、深山の岩壁や礫地(れきち)、または海岸の岩壁や砂礫地に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、台湾、南千島、樺太(からふと)(サハリン)に広く分布する。海岸型のものは庭木、公園樹として植えられる。園芸上では鱗片葉だけの古木をとくにシンパク(槙柏)といい、盆栽として賞用する。
[林 弥栄 2018年6月19日]