ミャンマー総選挙

共同通信ニュース用語解説 「ミャンマー総選挙」の解説

ミャンマー総選挙

議会上院(定数224)と下院(同440)の二院制両院とも定数の25%は国軍総司令官が指名する軍人枠。今回は治安悪化を理由投票を実施しない選挙区を除き、計476議席が改選対象。両院とも小選挙区制任期は5年。選挙後、両院議員全員の投票で大統領を選出する。(ヤンゴン共同)

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知恵蔵 「ミャンマー総選挙」の解説

ミャンマー総選挙(2015年)

2015年11月8日に行われたミャンマー国会議員の総選挙。民政移管後の初めての選挙で、アウンサン・スーチー率いる国民民主連盟(NLD)が全面参加したことから、大きな注目を浴びた。投票が行われたのは、上院(民族代表院)と下院(国民代表院)の定数664議席のうちの民選枠498議席(75%)。残り166議席(25%)は無投票の軍人枠で、国軍司令官によって指名される。
国際監視団を含む1万人の選挙監視員が見守るなか、投開票は大きな混乱もなく進められた。民主主義の実現を掲げるNLDが、軍人枠を含む定数の過半数に達するかどうかに注目が集まっていたが、戦前の予想を超え、約8割に当たる390議席を獲得し圧勝した。軍出身のテイン・セイン大統領率いる与党・連邦団結発展党(USDP)は42議席(改選前は約330議席)にとどまった。90を超える少数民族政党も候補者を出し、ロヒンギャ問題で揺れるラカイン州で、アラカン民族党(ANP)も22議席を獲得した。今後、16年1~2月に召集される国会で新大統領が選出され、3月にNLDを中心とする新政権が発足する予定。
ただし、NLDの党首アウンサン・スーチーは、夫(故人)と2人の息子が英国籍であることから大統領にはなれない。軍政が08年に制定した現憲法の「外国籍の家族がいる者は正副大統領の資格がない」という規定に抵触するためである。また、USDPの後退によって軍政から民政への全面移行が期待されているが、現憲法下では治安維持に関わる内務大臣、国防大臣、国境担当大臣も国軍司令官が指名することになっており、軍の実質的な政治介入は今後も避けられない。憲法の改正には、国会議員の75%を超える賛成が必要だが、これも25%という軍人枠が大きな障壁になっている(2015年12月末時点)。

(大迫秀樹 フリー編集者/2015年)

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