日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミュージアル」の意味・わかりやすい解説
ミュージアル
みゅーじある
Stanley Frank Musial
(1920―2013)
アメリカのプロ野球選手(左投左打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のセントルイス・カージナルスで外野手、一塁手としてプレー。「ザ・マン」とよばれ、首位打者を7回獲得して歴代4位の通算3630安打を放った大打者である。
11月21日、ペンシルベニア州ドノラで生まれる。1938年、カージナルスに入団。当初は投手だったが1941年から打者専任となり、同年のうちに外野手として大リーグに昇格した。1942年にレギュラーの座を確保し、ワールド・シリーズ優勝に貢献。1943年には初の首位打者となってリーグ優勝をもたらし、最優秀選手(MVP)に選ばれた。1945年は兵役についたが、一塁手として復帰した1946年にも首位打者を獲得し、チームをワールド・シリーズ優勝に導いてふたたびMVPを受賞した。外野手へと戻った1948年は本塁打王にあとホームラン1本及ばず三冠王は逃したが、首位打者と打点王を獲得し、3回目のMVPとなった。1950年からは3年連続して首位打者を獲得し、1956年は2回目の打点王、1957年には7回目の首位打者となった。1959年は故障がちで、打率2割5分5厘と18年目にして初めて3割を切った。続く2年も3割には届かなかったが、1962年に打率3割3分と復活して意地をみせた。1963年限りで引退。体を折り曲げるようにして構えるクラウチング・スタイルから右に左に鋭い打球を飛ばし、通算1万0972打数で三振はわずか696というバットコントロールの達人であった。
実働22年間の通算成績は、出場試合3026、安打3630、打率3割3分1厘、本塁打475、打点1951。獲得したおもなタイトルは、首位打者7回、最多安打6回、打点王2回、MVP3回。1969年に野球殿堂入り。
[山下 健]
『ジーン・スコアー著、内村祐之訳『スタン・ミュージアル伝 大リーグ最高のプレーヤー』(1978・ベースボール・マガジン社)』