日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミルバ」の意味・わかりやすい解説
ミルバ
みるば
Milva
(1939―2021)
イタリアのカンツォーネ歌手。本名マリア・イルバ・ビオルカティMaria Ilva Biolcati。フェッラーラ県のゴーロ生まれで「ゴーロの女豹(めひょう)」とよばれる。1961年に『フラメンコ・ロック』でデビュー。同じカンツォーネ歌手のミーナとは1歳違いで、つねによきライバルであった。しかしミルバは芸術派の方向に進み、ブレヒトやワイルの作品を取り上げたり、スカラ座でオペラを歌ったりし、またミュージカルへの出演も多かった。タンゴの鬼才ピアソラとの共演や、世界のポピュラー歌手や音楽家の作品を取り上げたりするなど、その活動はつねに話題をよんだ。1964年(昭和39)初来日。1987年には日本語の曲のみによるアルバム『2丁目の子守歌』を発表して評判になった。代表的なヒット曲に『タンゴ・イタリアーノ』『愛のフィナーレ』などのほか、とくに日本向けに録音された『ウナ・セラ・ディ東京』『愛遙(はる)かに』がある。
[田井竜一]