日本大百科全書(ニッポニカ) 「メラネソイド」の意味・わかりやすい解説
メラネソイド
めらねそいど
Melanesoid
メラネシアおよびニューギニア島に分布する住民。初めて彼らを見たヨーロッパ人が、アフリカ・ネグロイドに類似点があるとして、オセアニア・ネグロイドともよんだ。
皮膚は褐色から黒褐色までの暗色で、虹彩(こうさい)や毛髪も黒色である。そのため、彼らの住む地方はメラネシア(ギリシア語で黒い島々の意)とよばれた。毛髪は縮毛ないしは渦状毛で、ときには波状毛もみられる。その毛はモップの先のように逆立ち、そして先端が巻くので、アフリカ・ネグロイドにおける頭皮に張り付いてみえる短い縮毛と明らかに異なる。体毛やひげはアフリカ・ネグロイドより濃い。唇の厚さは中程度であり、著しくめくれ返ることはない。鼻の幅は一般に広く、高いが、鼻背は凸状、凹状とさまざまである。大部分のものは長頭であるが、短頭のものもみられる。多くの場合、額は傾斜して後退し、眉上弓(びじょうきゅう)は突出している。従来の人種分類では、メラネソイドはしばしばアフリカ・ネグロイドと一括されたが、最近の血清タンパクなどの研究により、両者の系統上の類縁関係はまったく疎遠であることが明らかになった。両者間の類似は強い紫外線と暑熱で代表される低緯度地帯の気候に対する適応によるものが大きいと考えられている。
メラネソイドはメラネシア亜人種とパプア亜人種に分けられる。また、ニューギニアの内部山地でごく短身の集団が発見され、ネグリトとみられていたが、近年これは低栄養によるものと考えられている。
[香原志勢]