メルキュール・ド・フランス(読み)めるきゅーるどふらんす(英語表記)Mercure de France

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

メルキュール・ド・フランス
めるきゅーるどふらんす
Mercure de France

フランスの文芸誌。18世紀初期に『メルキュール・ガラン』『ヌーボー・メルキュール』などを経て、この名の文芸誌があったが、近代では、1889年バレットAlfred Valletteを主筆として創刊されたものをさす。第一次世界大戦までのもっとも有力な文芸誌で、『NRF(エヌエルエフ)』(新フランス評論)と双璧(そうへき)をなした。1940~46年にかけ一時休刊、46年末に復刊したが、65年春に廃刊した。サマンルナールグールモンメーテルリンク、アンリ・ド・レニエなどおもに象徴主義の流れをくむ作家の作品を掲載するとともに、演劇、美術、音楽、外国文学紹介、批評にも多くの紙面を提供した。復刊後は、おもに19世紀文学研究の論文の発表の場となり、バルザックユゴーネルバル、ボードレール、ランボーに関する特集を組んだ。現在、この文芸誌の名を伝える出版社「メルキュール・ド・フランス社」がある。

[榊原晃三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

メルキュール・ド・フランス
Mercure de France

(1) フランスで発刊された週刊の文芸新聞。 1672年ドノー・ド・ビゼ (1638~1710) によって『メルキュール・ギャラン』 Mercure galantというタイトルで創刊され,小説や詩のほか文壇ゴシップなどを掲載して人気を集めた。 1724年上記の名称に改題,1832年廃刊。シャンフォールダランベール,コンドルセ,ラ・アルプ,ボルテールシャトーブリアンなど,その時代を代表する人々が寄稿,フランス革命の頃には発刊部数1万 5000を数えるほどになった。 (2) フランスで発刊された隔週刊の文芸雑誌。 90年アルフレッド・バレット (1858~1935) が妻の作家ラシルドと協力して創刊。グールモン,J.ルナール,デュアメルらの活躍で世界的に知られた。 1940年ナチスにより発禁処分を受けたが,46年再出発し,65年に廃刊。

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世界大百科事典(旧版)内のメルキュール・ド・フランスの言及

【グールモン】より

…はじめパリのビブリオテーク・ナシヨナルに勤めたが,筆禍事件を起こして1891年辞職。以後は前年に創設に参加した《メルキュール・ド・フランス》誌を主要舞台として文筆に専念。若い頃,狼瘡で醜い顔の持主となったのを恥じて,ほとんど外出せず本に埋もれて暮らした。…

【雑誌】より

…これらはいずれも,17世紀の知識人たちが学問への意欲を語り,その成果を同好の士に知らせようとするものだった。72年には知識人の〈たのしみ〉のための雑誌《メルキュール・ギャランMercure Galant》(のち1714年に《メルキュール・ド・フランスMercure de France》と改題)が創刊された。作家ジャン・ドノー・ド・ビセJean Donneau de Viséが法廷ニュースや小話や小詩片を編集したこの雑誌のあとを追って,数年のうちにドイツ,イギリスなどに同種の雑誌が続いた。…

※「メルキュール・ド・フランス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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