日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
メルキュール・ド・フランス
めるきゅーるどふらんす
Mercure de France
フランスの文芸誌。18世紀初期に『メルキュール・ガラン』『ヌーボー・メルキュール』などを経て、この名の文芸誌があったが、近代では、1889年バレットAlfred Valletteを主筆として創刊されたものをさす。第一次世界大戦までのもっとも有力な文芸誌で、『NRF(エヌエルエフ)』(新フランス評論)と双璧(そうへき)をなした。1940~46年にかけ一時休刊、46年末に復刊したが、65年春に廃刊した。サマン、ルナール、グールモン、メーテルリンク、アンリ・ド・レニエなどおもに象徴主義の流れをくむ作家の作品を掲載するとともに、演劇、美術、音楽、外国文学紹介、批評にも多くの紙面を提供した。復刊後は、おもに19世紀文学研究の論文の発表の場となり、バルザック、ユゴー、ネルバル、ボードレール、ランボーに関する特集を組んだ。現在、この文芸誌の名を伝える出版社「メルキュール・ド・フランス社」がある。
[榊原晃三]