ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レニエ」の意味・わかりやすい解説
レニエ
Régnier, Henri (François Joseph) de
[没]1936.5.23. パリ
フランスの詩人,小説家。初めマラルメに師事,のち高踏派の影響を受け (1896年エレディアの娘と結婚) ,柔軟な詩法を駆使し,優美で諧調に満ちた抒情詩を完成させた。詩集『古風でロマネスクな詩集』 Poèmes anciens et romanesques (90) ,『田園の聖なる遊び』 Les Jeux rustiques et divins (97) ,『粘土のメダル』 Médailles d'argile (1900) ,『水の都』 La Cité des eaux (02) ,『翼あるサンダル』 La Sandale ailée (06) ,『焔の跡』 Vestigia flammae (21) ,小説『真夜中の結婚』 Le Mariage de minuit (03) ,『おとなしい青年の休暇』 Les Vacances d'un jeune homme sage (03) 。彼の詩は上田敏,永井荷風の翻訳を通じて,日本でも早くから親しまれた。アカデミー・フランセーズ会員 (11) 。
レニエ
Régnier, Mathurin
[没]1613.10.22. ルーアン
フランスの風刺詩人。 P.デポルトの甥。その生涯はさまざまな伝説的逸話に包まれ判然としない部分が多い。ビヨンとベルレーヌの中間に位置するというべき自由闊達,不羈奔放の放蕩詩人。マレルブの詩論に反対し,詩は規則に拘束されることなしに各自の自由な発想に従うべきであると主張。プレイヤッドの詩人たちが復活させえなかった古代の風刺詩の形式を生かして,ボアローの先駆となる風刺詩 16編を残し,鋭い観察眼で偽善者,衒学者などの姿をとらえた。ボアローは「モリエール以前では人間の風習や性格に最も精通したフランス詩人」と評した。ミュッセをはじめとするロマン派の詩人たちに大きな影響を与えた。『作品集』 Œuvres (1608,13増補) がある。
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