フランスの詩人。北フランスのリールの生れ。1880年にパリに出,《メルキュール・ド・フランス》誌の創刊(1889)にも協力したが,小身の公吏として病弱のうちに母子2人暮しの孤独な生涯を送った。処女詩集《王女の庭にて》(1893)の甘美でもの憂く漠とした悲哀感を漂わす詩風によって象徴派の一人とも目されるが,第2詩集《花瓶の胴に》(1898)はむしろ高踏派的な形式美を志向して諧調に富む異教的雰囲気を醸し出す。さらに遺稿詩集《黄金の車》(1901)では,この二つの傾向が混交しつつ愁いを帯びた優雅さという彼の持味をよく示している。彼の詩は流派を離れて世紀末のデカダンの潮解的風土に咲き出た繊弱な病める花々であったといえる。
執筆者:松室 三郎
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