モジゴケ(読み)もじごけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モジゴケ」の意味・わかりやすい解説

モジゴケ
もじごけ / 文字苔
[学] Graphis scripta Ach.

地衣類モジゴケ科の1種。各種の落葉樹の樹幹に生え、かさぶた状の灰白色を呈し、樹皮の上に薄く広がる。子器黒色の線状で目だち、長さ2~3ミリメートル、やや盛り上がって不規則に屈曲する。分布は世界各地と広い。

 モジゴケはモジゴケ属Graphisの総称名でもある。モジゴケ属は世界中に約400種が知られ、日本には約20種が分布する。もっとも普通にみられるのは前出のモジゴケであるが、ほかにコモジゴケG. intricata、ニセモジゴケG. handeliiなどがある。両種ともモジゴケによく似ており、同じように樹皮に着生し、黒色線状の子器をもつ。これらの種の分類には、子器の構造や胞子形態が使われる。

[井上 浩]

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改訂新版 世界大百科事典 「モジゴケ」の意味・わかりやすい解説

モジゴケ
Graphis

おもに樹皮上に生じるモジゴケ科の固着地衣。共生藻緑藻スミレモ属。子器は細長く伸びて多少分枝し,文字を書いたような外観となる。黒色の果殻をもち,胞子は無色多室で横の隔膜がある。果殻の両わきにそって溝をもち,国内に広く分布するセスジモジゴケG.proserpens Vain.をはじめ,日本には7種がみられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モジゴケ」の意味・わかりやすい解説

モジゴケ(文字苔)
モジゴケ
Graphis scripta

モジゴケ科の固着地衣類。地衣体は樹皮上に着生し,灰白色で平滑であるが亀裂を生じ,その輪郭は不明瞭である。皮層は発達せず,ゴニジアはスミレモ属 Trentepohlia藻類から成る。子嚢果の殻は炭質で黒色。日本では本州各地にみられ,全世界的に分布する。なお,モジゴケ属は 400種ほどもあり,日本にはヘビモジゴケ,アカギレモジゴケ,カバイロモジゴケ,セスジモジゴケ,サクラモジゴケなど多数の種が知られている。

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