モスコス(その他表記)Moschos

改訂新版 世界大百科事典 「モスコス」の意味・わかりやすい解説

モスコス
Moschos

前150年ころに活躍した,シチリア島シラクサ出身のギリシアの抒情詩人。生没年不詳。モスコスは,テオクリトス,ビオンとともに,ヘレニズム時代の代表的牧歌詩人の一人であった。残念ながら,彼の《牧歌》は断片が伝わるのみであるけれども,ゼウスエウロペ強奪を物語る小叙事詩《エウロペ》が彼の作として現存しており,モスコスの詩風をうかがうよすがの一つとなっている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 平田

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モスコス」の意味・わかりやすい解説

モスコス
もすこす
Moschos

生没年不詳。古代ギリシアの牧歌詩人。紀元前2世紀の人。シチリア島のシラクサ出身。代表作『エウロパ』は、雄牛に姿を変えたゼウスが美女エウロパ(エウロペ)を誘惑し、彼女を背に海を越える神話を取り上げた優美な作品である。さらに、女神アフロディテが息子のエロスを探す『逃げ出したエロス』、ヘラクレスの妻メガラが姑(しゅうとめ)のアルクメネとともに英雄の運命について嘆く『メガラ』などがある。彼の作品の特色は技巧的な構成や華麗な詩句にみられる。

[岡 道男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モスコス」の意味・わかりやすい解説

モスコス
Moschos

前 150年頃活躍のギリシアの牧歌詩人。シラクサ出身。エピグラム数編と小叙事詩『エウロペ』 Eurōpēが現存。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

ローマ法王ともいう。ラテン語 Papaの称号はカトリック教会首長としてのローマ司教 (教皇) 以外の司教らにも適用されていたが,1073年以後教皇専用となった。使徒ペテロの後継者としてキリスト自身の定...

教皇の用語解説を読む