日本大百科全書(ニッポニカ) 「モナコ海洋博物館」の意味・わかりやすい解説
モナコ海洋博物館
もなこかいようはくぶつかん
Musée Océanographique de Monaco
モナコにある世界有数の海洋博物館。1910年、海洋研究家だったモナコ大公アルベール1世により創設された。博物館部門と水族館、実験室、図書館、観測船がある。蔵書数は5万。アルベール1世がパリ大学に海洋研究所を贈り、教授席を三つ創設した関係で、学術刊行物として『Bulletin de l'Institut Océanographique』と『Mémoires de l'Institut Océanographique』をもつ。モナコ湾に臨む絶壁上に建てられた壮麗な建物で、地階に水族館、1階には深海魚を含む豊富な海洋生物の標本類、2階には大公自ら使用した観測船イロンディーユ号Hirondelleや海洋学、水産学の観測用諸測器、関係資料が展示されている。とくに古典的な各種海洋観測用測器類の展示には、大公が使用した貴重なものが数多くある。アクアラング(スキューバの商品名)の発明や、海中映画で有名なクストーが館長を務めていたこともある(在任1957~1988)。建物の前面には、観測船に乗っているアルベール1世をかたどった有名な銅像がある。博物館の海側には、国際原子力機関(IAEA)の国際海洋放射能研究所がある。
[半澤正男]