改訂新版 世界大百科事典 「アルベール1世」の意味・わかりやすい解説
アルベール[1世]
Albert Ⅰ
生没年:1875-1934
ベルギー王。在位1909-34年。本名Albert Leopold Clement Marie Meinrad。フランドル伯フィリップの第2子。1900年バイエルン公女エリーザベトと結婚。伯父レオポルド2世のあとを継いで国王になったが,強烈な個性のレオポルドが晩年,コンゴ植民地問題で人気を失ったため,アルベールは政治の舞台から退くことが王位を安泰におくことを察し,憲法に規定された国事行為のみに政務を限定した。しかし,ドイツの拡張主義の脅威に対して軍備を増強し,武装中立に努力。第1次大戦でドイツ軍の侵入を受け国土の大部分を占領されたが,アイセル川以西に撤退してドイツ軍に抵抗し,1918年連合国側の総攻撃にはベルギー軍を率いて参加した。戦時中激化したフラマン語問題の解決に努力し,荒廃と窮乏に瀕したベルギーの戦後経済復興に尽くした。スポーツ好きで,ナミュール付近でロッククライミング中に墜落死した。
執筆者:栗原 福也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報