日本大百科全書(ニッポニカ) 「モンベルト」の意味・わかりやすい解説
モンベルト
もんべると
Alfred Mombert
(1872―1942)
ユダヤ系のドイツの詩人。カールスルーエ生まれ。文壇との交渉をもたず、私生活も秘して孤独な生涯を送った。1900年ハイデルベルクで弁護士を開業、以来当地に住んでいたが、40年ナチスによって強制収容所へ連行された。のち友人たちの奔走でスイスへ脱出した。表現主義文学の先駆者の一人で、さまざまな神話的形象を用いて宇宙永遠の創造原理を夢と幻想の世界のなかに表現しようと試みた特異な詩人。作品は処女詩集『昼と夜』(1894)をはじめ、『天地創造』(1897)、『カオスの花』(1905)、『牽牛星(けんぎゅうせい)』(1925)など多くの詩集のほか少数の劇作品もある。
[平井俊夫]