日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマナシ」の意味・わかりやすい解説
ヤマナシ
やまなし / 山梨
[学] Pyrus pyrifolia (Burm.f.) Nakai
Pyrus pyrifolia Nakai var. montana Nakai
バラ科(APG分類:バラ科)の落葉高木。高さ15メートルにもなる。葉は互生するが、短枝では輪生状につき、卵円形から卵状楕円(だえん)形、先端は尾状に鋭くとがり、縁(へり)に芒(のぎ)状の鋭い鋸歯(きょし)がある。4月、短枝の先に白色で径約3センチメートルの5弁花を数個開く。果実はなし状果、ほぼ球形で径2~3センチメートル、褐色に熟し、萼片(がくへん)はない。本州から九州の山地に生育するが、自生かどうか疑問である。朝鮮半島、中国に分布する。食用のナシは、本種から改良してつくられた。
ナシ属はユーラシア大陸の温帯に約30種分布する。リンゴ属Malusと近縁であるが、ナシ属は花柱が基部から離れること、石(せき)細胞があることで、リンゴ属と区別される。
[鳴橋直弘 2020年1月21日]