ヒルガオ科の薬用にされる多年生つる草。地下にカブ状の塊根があり,それから1~数本の地上茎を出す。地上茎は無毛でつる性,葉を互生させる。長柄のある葉は卵形で基部は深い心形となり,裏面は紫色で長さ10cmたらず。葉腋(ようえき)から小苞を有する花茎を出し,それから1~3本の花梗を出し,花をつける。花は紅紫色で,アサガオに似た漏斗状花,径6~10cmほど。果実は球形の蒴果(さくか)で1~2個の種子を入れる。メキシコ原産で,中米,西インド諸島やインドネシアで薬用に栽培される。塊根には粘質で刺激的な液汁を含有している。この塊根を乾燥したものが薬用にするヤラッパ根で,10%ほどの樹脂状のヤラッパ脂が有効成分である。主成分は配糖体のコンボルブリンconvolvulinで,瀉下(しやげ)剤として用いられる。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ヒルガオ科(APG分類:ヒルガオ科)の多年生つる草。メキシコ東部原産で、標高1600~2700メートルの山地に生育する。メキシコのヤラッパ市Jalapa Enrìquez近郊で広く栽培されるほか、ジャマイカ、インドなどでも栽培されている。茎と葉の裏面は紫色。葉は互生し、長さ9センチメートル、幅5センチメートルの卵形で先がとがる。葉の基部は矢じり形をなし、長い葉柄がある。花冠はアサガオの花に似て紅紫、径6~10センチメートル、葉腋(ようえき)から1花柄を生じ、さらに2~3個の小花柄に分かれ、それぞれに1花をつける。萼(がく)は5裂し、萼の下部には2小包が対生する。塊根はカブ状で太く、径10~15センチメートルに達する。
ヤラッパの塊根は峻下剤(しゅんげざい)として用いられる。有効成分は樹脂配糖体コンボルブリン(10~20%)である。塊根のアルコールエキスを水で洗い、水溶性成分を除いたものをヤラッパ脂といい、同様に峻下剤とされる。
[長沢元夫 2021年6月21日]
…薬用の種子は黒と白色のもので,利尿,殺虫をかねた峻下剤として,下半身の水腫,尿閉症の妙薬として珍重されたようである。主成分は樹脂配糖体のファルビチンpharbitinで,ヤラッパ根に含まれるヤラップjalapと同様に,強烈な瀉下(しやげ)作用がある。日本でも初期は,朝廷が大和の畝傍(うねび)地方の薬草園に植えたと推定されている。…
※「ヤラッパ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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