モル(その他表記)mole

翻訳|mole

デジタル大辞泉 「モル」の意味・読み・例文・類語

モル(〈ドイツ〉Mol)

国際単位系(SI)の基本単位の一で、物質量の単位。1モルは、6.02214076×1023個の分子原子イオン電子などの粒子、またはその集合体で構成された系の物質量として定義される。記号mol
[補説]初め、1モルは12グラムの炭素12の中に存在する原子の数と等しい要素粒子の物質量として定義されたが、2019年5月20日以降、アボガドロ定数を用いた新定義が適用された。

も・る

[動ラ四]もぎとる。摘みとる。
「ぬかごを―・り、せりを摘む」〈方丈記

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精選版 日本国語大辞典 「モル」の意味・読み・例文・類語

モル

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Mol )
  2. グラムぶんし(━分子)〔稿本化学語彙(1900)〕
  3. 物質の量を決める単位の一つ。分子、原子、イオンなど同質の粒子がアボガドロ数だけ存在する時、これを一モルと呼ぶ。本来は分子についてだけ使うことばだが、この場合、グラム分子グラム原子グラムイオンなどと区別しないでよいことになる。記号 mol
  4. モル濃度の単位。

も・る

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 もぎ取る。摘み取る。→もりはむ
    1. [初出の実例]「やぶにぬか子のいくらも有けるを忠盛袖にもり入れて」(出典:平家物語(13C前)六)

モル

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Moll ) 短調。短音階。

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改訂新版 世界大百科事典 「モル」の意味・わかりやすい解説

モル
mole

国際単位系における物質量の基本単位。1971年の国際度量衡総会で採用されたモルの定義は次のとおりである。〈モルは0.012kgの炭素12の中に存在する原子の数と同数の要素体を含む系の物質量である。その記号はmolである〉。ここで要素体というのはelementary entityの訳であって,その物質の性質を規定している化学的な最小要素であり,原子,分子,イオン,電子その他の粒子,もしくは組成の特定されたこれら粒子の集りである。物質量は物質の量ともいい,その物質を構成している要素体の数量であって,化学反応が質量や体積によってではなく,原子や分子の数の関係できまるという原子論から生まれた概念であり,従来,グラム原子数とかモル数といわれてきた量である。その単位も従来は粒子の存在形態に応じてグラム原子,グラム分子,グラム式量などと区別され,モルはグラム分子の別称であったが,モルに一本化された。ただし,この単位を用いる場合,物質の組成すなわち要素体の構成を明記しなければならない。例えば,塩化水銀(Ⅰ)の場合でも,要素体がHgClであるかHg2Cl2であるかを区別する。

 モルの大きさ,すなわち1mol中に含まれる要素体の数のことをアボガドロ数といい,1982年現在の精密な値は6.022028×1023個である。モルの定義文中の0.012kgは12gのことであり,その数値の12は炭素12の原子量の12に対応している。したがって,化学式量Mの要素体からなる物質m(g)の物質量はm/M(mol)となる。
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百科事典マイペディア 「モル」の意味・わかりやすい解説

モル

SI基本単位における物質の量の基本単位。炭素の質量数12の同位体12Cの12g中に含まれる原子数(6.02×1023個,アボガドロ数)と同数の物質粒子(原子分子イオン遊離基電子)を含む物質の集団のこと。以前は,グラム分子などともいった。
→関連項目気化熱気体定数モル比熱

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モル」の意味・わかりやすい解説

モル(物質の量の単位)
もる
mol

物質の量の単位の一つで、化学ではもっとも重要なもの。原子量の基準となっている炭素の質量数12の同位体12Cの12グラム中に含まれる原子の数、すなわちアボガドロ定数(6.0221367×1023)だけの物質粒子(原子、分子、イオン、電子など)を含む物質の集団を1モルと定義する。記号はmol,mole,Mなどを使う。水素原子H1モルの質量は1.0079グラムであり、水素分子H21モルの質量は2.0158グラムである。また塩化ナトリウムNaClはNa+とCl-から成り立つのであるから、その1モルは式量NaCl=22.98977+35.453=58.443であり、58.443グラムである。すなわち1グラム原子、1グラム分子、1グラム式量などが1モルである。またモル濃度の単位の意味に用いられることもある。

[中原勝儼]


モル(Anthonis Mor)
もる
Anthonis Mor
(1520ころ―76/77)

ネーデルラントの肖像画家。ユトレヒト生まれ。モールMoorまたはモロMoroの呼び名もある。ヤン・ファン・スコレルを師とするが、画風にはフランドルおよびベネチア派の影響もみられ、モデルの正確な把握と衣装や装身具の入念な再現で知られる。アントウェルペンアントワープ)を本拠とし、ブリュッセル、ローマ、マドリード、リスボン、ロンドンの各宮廷でも活躍した。代表作に『ユトレヒトの2人の聖堂参事会員像』(1544・ベルリン国立美術館)、『メアリー・チューダー像』(1554・プラド美術館)などがある。アントウェルペンに没。

[野村太郎]

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化学辞典 第2版 「モル」の解説

モル
モル
mole, molar

】物質量の単位の一種.国際単位系(SI単位)の基本単位の一つ.記号 mol.従来はアボガドロ定数(6.02 × 1023)の原子または分子を含む物質量,あるいは原子量または分子量と同じ質量の物質量と定義されていたが,SI単位では 12C の0.012 kg 中にある炭素原子と同数の基本的粒子(分子,原子,イオンなど)を含む系の物質量と定義されている.【濃度の単位としても用いられる.記号 mol L-1,もしくは M.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モル」の意味・わかりやすい解説

モル
mol; mole

SI基本単位の一つ。記号は mol。1モルは 6.02214076×1023の要素粒子を含む量をさす。かつて,モルは 0.012kgの炭素 12のなかに存在する原子の数と等しい数の要素粒子を含む系の物質量と定義された。モルを用いるとき,要素粒子が指定されなければならないが,それは原子,分子イオン電子その他の粒子またはこの種の粒子の特定の集合体であってよい。

モル
Mor (van Dashorst), Anthonis

[生]1520頃.ハールレム
[没]1576. アントウェルペン
オランダの肖像画家。スペイン名アントニオ・モロで高名。 J.スコレルに師事。イタリア旅行ののち,H.ホルバイン風の肖像を描いた。マドリード,ロンドンなどの宮廷で仕事をし,1555~59年にはハールレムに滞在,59年に再びスペインを訪問した。作品はスペインのフェリペ2世のために描いた『イギリス女王メアリー・チューダー』 (1554,マドリード,プラド美術館) 。

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知恵蔵 「モル」の解説

モル

物質を構成する原子、分子などの要素粒子の数で表す物質量の単位で、SIの基本単位の1つ。化学において基本諸法則が発見されて以来、物質量を表すのにグラム原子、グラム分子などの単位が用いられてきたが、これらは原子、分子の相対質量である「原子量」「分子量」の決め方に関係するため、物理学者と化学者との間で異なる定義が用いられていた。これを統一するため、1971年の国際度量衡総会は物質量の単位に「モル」という名称を与え、「モルは0.012 kgの炭素12の中に存在する原子の数と等しい数の要素粒子を含む系の物質量である」と定義。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

単位名がわかる辞典 「モル」の解説

モル【mol】

物質の量を示す国際単位。記号は「mol」。1molは、質量数12の炭素12g中に含まれる炭素原子と同数(アボガドロ数)の原子・分子などを含む物質量。水素分子H2の1molは2.016g、酸素原子Oの1molは15.999gだから、水H2Oの1molは18.015gである。

出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「モル」の解説

モル

 アボガドロ数 (6.02×1023個) の分子の集合単位を1モルという.化合物について,その分子量にgをつけた数の質量に相当する.モル濃度をいう場合もあり,モル濃度1は,1lに1モルの溶質を含む液をいい,1Mと記す.

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世界大百科事典(旧版)内のモルの言及

【長調】より

…一方,19世紀後半からは半音階的和声法の発展に伴って,長調・短調の区別自体があいまいとなっていった。 なお,ドイツ語のドゥアDur(長調),モルMoll(短調)は,ラテン語の〈堅いdurus〉,〈柔らかいmollis〉からきている。調[西洋]調性【土田 英三郎】。…

※「モル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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