翻訳|urea resin
尿素とホルムアルデヒドの縮合によって得られる熱硬化性樹脂。ユリア樹脂ともいう。フェノール樹脂とならぶ代表的な熱硬化性樹脂で,1920年にドイツで発明された。成形しやすく,着色が容易で,かつ絶縁抵抗や耐電圧性などの電気特性にも優れているため,今日でも用いられているが,耐熱性,耐水性,耐久性に問題があるため,電気部品(つまみ,コネクター,スイッチボックスなど)や雑貨(ボタン,容器類のキャップ,文具,各種ケース類など)が主となっている。低重合体は木材との接着性がよく,かつ安価であるため,合板用の接着剤に用いられている。しかし最近では硬化剤のホルムアルデヒドの毒性が問題となっており,用途が限られてきている。繊維の後加工剤として木綿製品の防しわ加工,寸法安定性向上のために用いられることもある。
尿素とホルマリン(ホルムアルデヒドの水溶液)を1:2~3のモル比で混合し,pHを7~8にし,35~70℃で4時間反応させ,次いで減圧濃縮して水分をとばし,粘稠なオリゴマーとする。反応としては,まずジメチロール尿素ができ,これが縮合して硬化するが,生成物の組成・構造はpHに影響される。
成形品として用いるときは,樹脂溶液100部に60~80部のα-セルロースを充てん(塡)材として加える。次いで乾燥して水を除去し,塩化アンモニウム,塩化亜鉛などの触媒,顔料,その他添加剤を加え微粉末化する。これを金型に入れ,130~150℃で圧縮成形する。143~160℃で射出成形することもできる。接着剤として用いるときは,流動状態のもとで,塩化アンモニウムを触媒として加え,これを木板に塗り,張り合わせたうえで加圧・加熱する。尿素樹脂のおもな物性をメラミン樹脂,ナイロン樹脂と比較して表に示す。
執筆者:森川 正信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ユリア樹脂ともいう.尿素とホルムアルデヒドの付加縮合反応によって得られる熱硬化性樹脂.アミノ樹脂の一つ.尿素とホルマリンとを中性あるいは微アルカリ性で加熱して反応させ,N-ヒドロキシ尿素,N,N′-ビス(ヒドロキシ)尿素を経て,ついで微酸性中でメチレンによる橋かけを生成させて得る.初期生成物に添加剤,充填剤(セルロース粉末など)を加えて成形用コンパウンドとしたり,濃縮して塩化アンモニウムなどを加えて接着剤とし,あるいはヒドロキシメチル基をアルコール類でアルキル化し,アルキド樹脂を添加して塗料とする.また,酸性触媒とほかの添加物を加えて,繊維,紙加工処理剤とするなどの用途がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…メーカーには,三井東圧化学,三菱瓦斯(ガス)化学,信越化学工業,日産化学工業,日本化成,協和ガス化学工業,コープケミカル,東洋ガス化学工業などがある。ガス化学工業の主要な前記3製品のうち,まずメタノールはその大半がホルムアルデヒドになり,ホルムアルデヒドは,ユリア樹脂(尿素樹脂),メラミン樹脂(接着剤や化粧板等の原料)などや,ポリアセタール(エンジニアリングプラスチック,いわゆるエンプラ)などの原料である。アンモニアは,尿素,硫安などの窒素肥料や,ナイロン,アクリルなどの合成繊維の原料をつくるのに使われる。…
※「尿素樹脂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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