日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユルト」の意味・わかりやすい解説
ユルト
ゆると
Yurt
ユルタYurtaともいう。南シベリア、中央アジアのトルコ系諸民族が使用する天幕。構造はモンゴルのゲルとほとんど同じで、矢来(やらい)組を円筒形に立て並べた外壁の上に棒を放射状に並べたドーム型の屋根をのせ、全体をフェルトで覆う。夏には壁にフェルトのかわりに簾(すだれ)を立て風通しをよくし、冬には土塁や石塁を築いて寒風を防ぐ。ゲルとの大きな違いは屋根の骨組が湾曲している点である。ユルトは遊牧民の本来の住居であったが、定住化が進んだ今日ではセカンド・ハウスとして使用される場合も多くなっている。
[佐々木史郎]
『トーボー・フェーガー著、磯野義人訳、梅棹忠夫監修『天幕――遊牧民と狩猟民のすまい』(1985・エス・ピー・エス出版)』