日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨーンソン」の意味・わかりやすい解説
ヨーンソン
よーんそん
Eyvind Olof Verner Johnson
(1900―1976)
スウェーデンの作家。石工の子として生まれ、肉体労働に従事しながら、独学で新しい思潮の吸収に努める。ジャーナリストを志し、1921~23年ベルリン、パリに滞在、第一次世界大戦後のヨーロッパの実状に触れる。飢餓の記録とよばれる小説『見知らぬ四人』(1924)で文壇に登場、四部作の自伝小説『ウーロフをめぐる物語』(1934~37)で揺るぎない地位を確立した。『夜間演習』(1938)はナチス批判の作品。ソビエト・フィンランド戦争、共産主義体制への批判の『兵士の帰還』(1940)と『クリローン・グループ』三部作(1941~43)は第二次世界大戦中の執筆。反戦新聞の地下出版にも従事している。戦後は『暗い歳月の流れに』(1946)、『陛下の御世(みよ)』(1960)ほか長編歴史小説を精力的に発表。57年アカデミー会員。74年ノーベル文学賞受賞。
[田中三千夫]
『エイヴィンド・ユーンソン著、谷口幸男訳『暗い歳月の流れに』上下(1975・三笠書房)』