改訂新版 世界大百科事典 「ラウリオン」の意味・わかりやすい解説
ラウリオン
Laurion
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ギリシア中部、アッティカ県の小都市。アッティカ半島南端のスーニオン岬の近くに位置する。英語名ラウリウムLaurium。古代には有名な銀鉱山の所在地として知られた。現在も鉛やマンガン鉱などを産出し、金属精錬業が立地する。港があり、鉄道で首都アテネと結ばれている。人口約8000。鉱山採掘の歴史は古く、とくにペイシストラトス以後盛んとなり、紀元前483年には豊かな鉱脈が発見された。膨大な資金を必要とする海軍を支え、アテネの繁栄に貢献したこの鉱山は国有で、入札により私人が採掘を請け負い、多くの場合、奴隷を労働力として用いた。ペロポネソス戦争末期に一時閉鎖され、前4世紀後半には復活するが、西暦紀元開始ごろ銀鉱脈は枯渇した。
[中村 純]
アッティカ東南部の銀産出地。その良質の銀はアテネ繁栄の一因をなした。ポリスが採鉱権を有し,市民は一定期間,個々の鉱坑を賃借して採掘にあたった。最盛期は前5世紀。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…後背地としてのアッティカは,日本の佐賀県にほぼ匹敵する広さをもち,北方・北西方は山脈をへだてて,それぞれボイオティア,メガラに接し,南方・東方および南西方は海に囲まれている。この地方は地味に乏しく穀作に適しないため,古代においてはオリーブなどの果樹の栽培が盛んであったが,他面,半島南東隅のラウリオン地区に地中海世界屈指の銀鉱山を擁し,そこから産出する良質の銀が盛期アテナイの経済的繁栄を支える一因となった。今日でも,半島南端スーニオン岬近傍におよぶこの地区一帯に,おびただしく残された鉱坑・選鉱場・溶鉱炉の遺跡が,古代における銀鉱採掘の実状を伝えている。…
…これはアイギナ本位の始まりであるが,ついでエウボイア本位のカルキスの貨幣,これら諸国と比肩する交易国コリントスの貨幣(ペガソスの刻印),この3種が前7世紀ギリシア本土の主要なものであり,その他アテナイなども貨幣を造った。前6世紀とともに諸国の鋳貨は盛んになるが,ペイシストラトス時代のアテナイはラウリオン(ラウレイオン)銀山の銀を使って,注目すべき貨幣を造り出した。その4ドラクマ銀貨は両面に図像の刻印をした最初のものであり,表面にはアテナ神の頭部,裏面にはフクロウとオリーブを表したが,この刻印は以後のアテナイ貨幣の定めとなった。…
※「ラウリオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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