フィンランドの東洋語学者で,アルタイ比較言語学の権威。1906-17年ヘルシンキ大学講師,のち41年まで同員外教授となる。長年にわたりフィンランド東洋学会およびフィン・ウゴル学会を主宰し,晩年はフィンランド学士院会員となる。また学問の研究とともに,1919年以後の10年間は,新たに独立した母国のために活躍し,日本公使(1919-30)をつとめた。
幼少の時代から種々の言語に関心を覚え,大学卒業後は,語学の教師をしていたが,学問上の労作は,チェレミス語の実地踏査の結果を整理した発表に始まる。その後,おびただしい研究の発表があるが,それらはすべて数次にわたるアジアの諸地方の研究旅行および滞在の成果である。著述のうち有名なものは,《カルムイク語辞典》《朝鮮語文法》《朝鮮語語源辞書》などであるが,学説として最も注目すべきは,アルタイ諸語の系統論である。たとえその学説にはいろいろの反対があろうとも,その歴史的地位は長く記憶されるであろう。その学統を継ぐ学者としては,ポッペN.Poppe,レセネンM.Räsänenらがある。エスペラント語学者としても有名であった。
執筆者:亀井 孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 藤岡勝二は《日本語の位置》(1908)という講演の中で,語頭に二つ以上の子音が現れない,語頭にr音がこない,母音調和がある,冠詞がない,文法性がない,動詞変化では語幹に接辞が付加される,動詞の接尾辞が多い,代名詞変化も語幹に接辞が付加される,後置詞を用いる,所有は〈誰々に何々がある〉という表現を用いる,奪格形〈より〉で形容詞を比較する,疑問文の終りに問いを示す語がくる,接続詞が少ない,形容詞が名詞の前に立つ,など14項目につきアルタイ諸語(モンゴル諸語,チュルク諸語,ツングース諸語)と日本語の特徴が一致すると説明した。フィンランドのアルタイ語学者G.J.ラムステッドも《アルタイ諸語と日本語との比較》(1924)で同じ見解を表明している。またアイヌ語の権威者金田一(きんだいち)京助は,《国語史系統篇》(1932)の中で日本語が原始アルタイ語と遠い親族関係にあると述べている。…
…例えば,古く存在したqïとïは,現代の多くのモンゴル諸語ではki(あるいはxi),giと合流してしまったが,モゴール語ではそのまま保たれている。古くG.J.ラムステッドの研究があり,1955年には日本の京都大学探検隊による調査研究がなされた。さらに69年から70年にかけての西ドイツのワイヤースM.Weiersの調査研究がある。…
※「ラムステッド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新