LL(エルエル)と略してよばれる。一般に、複数の学習者に対して、言語の聞くことと話すことを中心に、一斉にしかも個別的な学習を可能にさせるよう、主として音声メディアを総合的に組み合わせた語学の演習用システムである。語学ラボラトリーともいう。1990年代後半からランゲージ・ラボラトリーは、インタラクティブ(双方向性)を大きな特徴の一つとする、音声、映像、文字情報を総合化したマルチメディアの普及によって、いっそう高機能化されてきている。
ランゲージ・ラボラトリーは、学習を高度に個別化することができ、学習者は自分で操作卓を操作しながら、能力に応じたプログラムを適当な速度で個別に学習できる。モデル発音と自分の発音をテープレコーダーなどに録音したものを再生したり映像を参照して比較することにより、即座にフィードバックもされるし、教師がモニターで聴取しながら学習者ひとりひとりにフィードバックすることもできる。ランゲージ・ラボラトリーは、その機能によって、A‐P型(聴取型)、A‐A型(聴話型)、A‐A‐C型(聴話録音比較型)などがある。
なお、ランゲージ・ラボラトリーで用いられる言語の学習用映像音声教材には、次のような種類がみいだされる。(1)音声練習、(2)聴解練習、(3)読み方練習、(4)暗唱練習、(5)対話練習、(6)語彙(ごい)拡張練習、(7)文型練習、(8)口頭作文、(9)書き取り、(10)歌の練習、(11)以上のさまざまな組合せ、などである。
また、ランゲージ・ラボラトリー教室は、マルチメディアと一体化したシステムとして、テレビ、VTR、ビデオディスクプレーヤーなどと統合化されたり、あるいはこれらが単体の機器としても備えられて高度化することが多い。そのため、言語技能の演習ばかりでなく、他の分野にも用いられる可能性がある。
[篠原文陽児]
『高萩竜太郎編『機器利用の教育工学』(1972・大日本図書)』▽『R・オレヒョフスキー著、乙政潤訳『ランゲージ・ラボラトリーの効果』(1974・南江堂)』▽『『新 教育の事典』(1979・平凡社)』▽『野津良夫編『視聴覚教育の新しい展開』第2版(1998・東信堂)』▽『情報処理振興事業協会(IPA)編『Learning Web Project 学びのデジタル革命――21世紀の学びを拓く最先端の教育の情報化プロジェクト』(2000・学習研究社)』
教育機器を利用した語学演習室のことをいう。普通LLと略称する。第2次世界大戦中のアメリカで,おもに軍隊の外国語学習用に開発されたものである。日本での外国語教育は長い間読みと解釈が中心であり,聞いて話すという訓練はあまり重視されてこなかった。しかし戦後,広く国際世界との交流が活発になり,実際に話すことのできる外国語学習への要望が高まるとともに,テープレコーダーなど機器の性能の飛躍的な向上にともなって,とくに1960年代以降学校などで広く普及するようになった。通常は指導者の席に調整器があり,ここからテープレコーダー,ヘッドホン,マイクロホンなどが置かれている学習者の席(ブースbooth)へ指示が出される。まずマスターテープから発声のモデルが送られる。学習者はプログラムの指示にしたがって,くり返して練習を行い,自分の発音を録音しモデルと比較して矯正する。これをAAC(audio-active-comparative)タイプという。指導者は個々人の練習状況を判断し,個別の課題を与えていく。このようにLLを用いた学習の特徴は,正確で標準的な発音や発声を示し,ひとりひとりの進度に合った個別学習をすすめ,一対一の反復練習を同時におおぜいの者が行うことができることにある。
執筆者:梅原 利夫
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