教育の目標を達成するためにさまざまな文化の中から選ばれたり新しくつくりかえられたりしてできた素材のこと。〈教具〉と区別して用いる場合には,教育内容の側面に注目した文化材としてとらえるが,教材・教具と一括して用いるように実際には両者の区分は明確ではない。たとえば義務教育費国庫負担法による教材基準では,同法の経費援助を受けられる教材とは,ほとんどが教具のことをさしている。教材のうちで主要なものはまずなんといっても教科書であろう。さらに副読本,学習帳,ドリルブック,白地図などの一連の図書教材がある。また各種統計や資料,図やグラフなども,それらが教授=学習過程の中での素材として選びとられてくれば,それも教材といえる。授業ではこうした文字による印刷物教材が圧倒的に多い。このほかに,理科,美術,家庭科などでの実験や実習のための材料にも教材といえるものがある。最近では視聴覚教材や教育機器による教材も導入されてきている。スライド,映写フィルム,VTR用テープ,マイコン用ソフトなどに収められた教育内容も教材といえ,これらは教具とセットとなってはじめて意味をもつものである。教師の教材研究とは,授業前にあらかじめ教授=学習活動を予想し,それにみあう素材の選択と構成を行うものであり,教育の内容研究とともに教具や方法の吟味も含まれる。
→教科書 →教具
執筆者:梅原 利夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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