リベラdeRibera)(読み)りべら(その他表記)José (Jusepe) de Ribera

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

リベラ(José (Jusepe) de Ribera)
りべら
José (Jusepe) de Ribera
(1591―1652)

スペインの画家版画家。バレンシア県ハーティバに生まれる。バレンシアのリバルタの工房で学んだという説もあるが不明。若くしてイタリアに渡り、北イタリア各地やローマを巡り、その間カラッチやカラバッジョの作品に多くを学び、1616年以後スペインの副王領ナポリに定住、副王の宮廷画家として活躍し、同地に没した。ジュゼーペはホセのイタリア名であり、「小柄なスペイン人」を意味する「ロ・スパニョレット」Lo Spagnolettoの愛称もある。

 彼は、デッサン力、構図、自然主義的な対象解釈に卓絶した才能を発揮した。1635年ごろまでは『聖バルトロメオ』や『アルキメデス』のように、厚塗りによる分析的リアリズム技法を駆使し、カラバッジョの明暗法と自然主義を極端に推し進めた作品を描いた。それ以後は色彩は明るくなり、タッチも柔らかさを増し、『ヤコブの夢』『聖バルトロメオの殉教』、『使徒たちの聖体拝領』のように、雄大な構図や風景に対する関心も強めていった。対抗宗教改革時代のスペイン人画家としては例外的に作域が広く、宗教画(とくに殉教図)、肖像画のほか、寓意(ぐうい)画、神話画、古典的な主題、風俗画をもよくした。また、彼の版画はデッサンの手本とされ、油絵とともに本国スペインのバロック絵画に大きな影響を与えた。

神吉敬三

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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