日本大百科全書(ニッポニカ) 「レベッカ」の意味・わかりやすい解説
レベッカ
れべっか
Rebecca
イギリスの女流小説家デュ・モーリエの長編小説。1938年刊。孤児のフランス娘カロラインは、妻を亡くした中年の英国紳士で、マンダレーという有名な城の主に見そめられて結婚する。詳しい事情を知らずに夫の館に乗り込んだ善良でうぶな新婦は、先妻レベッカの影がいまだに強く支配しているのを知る。先妻が才色兼備の理想的な社交婦人であったことを聞き、夫がまだ彼女を愛しているのではないかと疑うが、謎(なぞ)が解き明かされるにつれて、心身ともに侵されていたレベッカの意外な正体が暴露され、カロラインはレベッカ・コンプレックスから解放される。ゴシック小説の伝統に心理小説の技法を交えた作者の代表作。1940年、ヒッチコック監督によって映画化され、アカデミー作品賞を受賞している。
[安達美代子]
『大久保康雄訳『レベッカ』(新潮文庫)』