レベッカ(読み)れべっか(その他表記)Rebecca

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レベッカ」の意味・わかりやすい解説

レベッカ
れべっか
Rebecca

イギリスの女流小説家デュ・モーリエ長編小説。1938年刊。孤児のフランス娘カロラインは、妻を亡くした中年の英国紳士で、マンダレーという有名な城の主に見そめられて結婚する。詳しい事情を知らずに夫の館に乗り込んだ善良でうぶな新婦は、先妻レベッカの影がいまだに強く支配しているのを知る。先妻が才色兼備の理想的な社交婦人であったことを聞き、夫がまだ彼女を愛しているのではないかと疑うが、謎(なぞ)が解き明かされるにつれて、心身ともに侵されていたレベッカの意外な正体が暴露され、カロラインはレベッカ・コンプレックスから解放される。ゴシック小説の伝統に心理小説の技法を交えた作者の代表作。1940年、ヒッチコック監督によって映画化され、アカデミー作品賞を受賞している。

[安達美代子]

『大久保康雄訳『レベッカ』(新潮文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語 新潮文庫

デジタル大辞泉プラス 「レベッカ」の解説

レベッカ

①英国の女性作家ダフネ・デュ・モーリアミステリー(1938)。原題《Rebecca》。妻を亡くした英国紳士と結婚した若いフランス人女性が先妻の影におびえる心理小説。
②1940年製作のアメリカ映画。原題《Rebecca》。①を原作とする。監督:アルフレッド・ヒッチコック、出演:ローレンス・オリビエ、ジョーン・フォンテーンほか。第13回米国アカデミー賞作品賞、撮影賞(白黒)受賞。
③2006年初演ミュージカル。原題《Rebecca》。作詞脚本:ミヒャエル・クンツェ、作曲:シルヴェスター・リーヴァイ。①を題材とするミステリー。日本では2008年に東宝により初演。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のレベッカの言及

【ヒッチコック】より

…1925年から39年までのイギリス時代に23本の映画をつくったが,そのなかで《暗殺者の家》(1934)がイギリス内外でヒットし,つづく《三十九夜》(1935)がさらに好評を得て〈スリラーの名匠〉として国際的に認められた。《バルカン超特急》(1938)でニューヨーク映画批評家協会の監督賞を受賞し,ハリウッドのプロデューサー,デビッド・O.セルズニックに招かれてアメリカに渡り,ハリウッドで撮った最初の作品《レベッカ》(1940)がアカデミー作品賞を受賞し,監督賞にもノミネートされた。以後,年1本のペースで恐怖とサスペンスにみちた〈ヒッチコック映画〉を撮りつづける。…

※「レベッカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「破竹の勢いで連戦連勝する」[類語]強い・強力・強大・無敵・最強・力強い・勝負強い・屈強・強豪・強...

破竹の勢いの用語解説を読む