日本大百科全書(ニッポニカ) 「レレ」の意味・わかりやすい解説
レレ
れれ
Lele
アフリカ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)のカサイ州に住むバントゥー系農耕民。ブショングなどとともにクバ・グループに属す。人口は約3万。トウモロコシとキャッサバが主要作物であるが、ラフィアヤシも重要である。レレはこれでラフィア布をつくり、周辺の民族の産する肉や魚、鉄製品などと交換する。罠(わな)を用いる狩猟も行う。村がもっとも重要な社会的単位であって、すべての土地の権利、狩猟を行う森の権利などを有する。村は草原の、森からあまり遠くない所につくられる。男は結婚すると、妻のために高いフェンスで囲われた小屋を建てる。小屋は両親やクラン(氏族)のメンバーの小屋の近くではなく、同年齢集団の仲間の小屋の近くに建てられる。レレの男性は独身期間が長いので、各村には多数の共有の妻がいる。この「村の妻」になることは非常な栄誉で、彼女らは首長にも比され、隣村との紛争の解決に重要な役割を果たす。男女の領域は厳格に分離され、たとえば女性は自分の兄弟と一つの小屋に同席したり面と向かって話しかけてはいけないし、自分の息子や義理の息子、また父親さえも避けなければならないことがある。占い師、双子の両親、子供をもつ男女などのさまざまな祭祀(さいし)集団があり、おのおの動物との結び付きや禁忌をもっている。
[加藤 泰]