改訂新版 世界大百科事典 「ロンカリア立法」の意味・わかりやすい解説
ロンカリア立法 (ロンカリアりっぽう)
ドイツ皇帝フリードリヒ1世(バルバロッサ)が第2回イタリア遠征に際し,1158年のロンカリアの帝国議会で行った一連の立法。ここでフリードリヒは,古代ローマ帝国との意識的な結びつきによって,皇帝権に新たなローマ法上の基礎を与えようとしたといえる。ボローニャの著名な4博士(フーゴー,マルティヌス,ブルガルス,ヤコブス)の助言・協力を得ながら,イタリア諸都市を代表する裁判官たちの関与のもとにイタリアにおける皇帝の諸権利を回復することが意図され,レガーリエンに関する法律およびこれに続く三つの(1967年になって初めて再発見された)法律が制定された。そこには,ドイツ法に由来する権利だけではなく,かなり多くのローマ法に由来するものがあげられている。しかも注目すべきことに,同時に決定されたボローニャの法学生のための特許状(とりわけ護送や裁判に関しての諸特権の付与)は,フリードリヒによってユスティニアヌスの勅法彙纂(いさん)の中に挿入するよう命じられている(立法者としてのローマ皇帝という伝統)。ロンカリアでは,1136年と54年の法律を繰り返しまたは補充したレーンに関する法律,それにラント平和令も発布された。
執筆者:佐々木 有司
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