スメタナが1874年から79年にかけて作曲した連作交響詩。作曲者の祖国チェコスロバキアの歴史と自然を題材にしたもので、『ビシェフラード(高い城)』Vyšehrad(1874)、『ブルタバ(モルダウ)』Vltava(1874)、『シャールカ』Šarka(1875)、『ボヘミアの森と草原から』Z čeckých luhů a hájů(1875)、『ターボル』Tábor(1878)、『ブラニーク』Blaník(1879)の六曲からなる。1848年、パリの二月革命、ウィーンの三月革命の影響がチェコにも及び、オーストリア政府軍とプラハの市民軍との間に戦闘が行われた際、若いスメタナは革命派市民のための歌を作曲して自らも戦いに参加したが、そうした愛国的情熱がのちにこの連作を生み出す原動力になったと考えられる。六曲の交響詩はいずれも重厚かつ色彩的なオーケストレーションに支えられたうえに、美しい旋律に彩られており、とりわけ第二曲『モルダウ』は広く愛好されている。全曲まとめての初演は、1882年にプラハで行われた。
[三宅幸夫]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…しかし74年,50歳のときに聴覚を失い,晩年はチェコ北部のヤブケニツェ村に隠とんし,肉体的・精神的状態の悪化と戦いながら作曲に専念。祖国の風物と民族を賛美した6曲から成る交響詩組曲《わが祖国》(1879。その第2曲《モルダウ》はとくに親しまれている)や自叙伝的な二つの弦楽四重奏曲,《第1番わが生涯より》(1876)と《第2番ニ短調》(1883)を完成したのち,プラハの精神病院で狂死した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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